奇妙な話 未分類

【奇妙な話】Sは俺達をどこへ連れて行こうとしていたんだ

2016-04-15_142542

友人から聞いた話。

サークル仲間に無理やり参加させられた合コンは、予想通り
人数合わせの様で、仲間の二人は合コンというより初めから
カップルで参加していて、相手の男が連れて来たのもさえない
人数合わせの様で、全くK子さんの趣味に合わなかった。

カラオケでも行こう、という二人の誘いを断ったK子さんは
居酒屋を出て、駅へ向かおうとしていると
『二次会は行かないの?』
と声を掛けられた。

同席していたSだった。同じ大学の先輩だと名乗ったSは
かなりの美人で、男たちの注目を集めていたのを思い出した。
Sの誘いでもう少し飲んでいこうという事になり、駅前の
居酒屋に入った。
『K子さん、T県出身なんだって?』

合コンの失敗をネタに盛り上がっているとSが言った。

『さっき自己紹介で言ってたでしょ。夏休みはT県に帰るの?』

二日後からは夏休みだった。
どうしようか未だ決めていない、旅費が結構掛かるから、と
K子さんが答えると、SはT県のハイキングコースのゴミ拾いの
ボランティアが有るので参加しないか?と言った。

 

676: 本当にあった怖い名無し 2009/05/30(土) 13:00:58 ID:LS2R9xbv0

Sが所属しているアウトドア愛好会グループは
バーベキューキャンプを予定しており、T県のその
ハイキングコースにあるキャンプ場のオーナーと
契約して、ハイキングコースのゴミ拾いのボランティア
を行う代わりにキャンプ場を無料で使用させて貰える。
しかもバーベキューの食材も提供してもらえるとの事だった。

『どう?ボランティアだからバイト代は出ないけど、行きは
私の車で一緒に行けば旅費も掛からないしね。ただ、私達は
その後の予定があるから、帰りはK子さん、自分で何とか
してもらわなければならないけど』

実家には2年くらい戻っていない。かなり旅費が掛かるので
今年も行かない予定だった。
確かに片道分の旅費で済むし、野外でバーべキューというのも
楽しそうだ。

「じゃあ、行こうかな」

K子さんが答えると、Sは言った。

『そう。じゃ、明後日の朝7時に学校の前で待ち合せしましょう』

K子さんは携帯番号を教えてもらい、Sと別れた。

 

677: 本当にあった怖い名無し 2009/05/30(土) 13:02:01 ID:LS2R9xbv0

翌日。部屋の掃除と洗濯を済ませて、明日の準備を
していると携帯に電話が掛かって来た。実家からだった。

久しぶりの帰省に喜ぶ母親に、明日は近くのキャンプ場で
友達と泊まってから、翌日に家に向かう事を告げると
キャンプ場なんて有ったかしら?と言う。

ハイキングコースのゴミ拾いのボランティアの事を説明して
その近くだと言うと、ハイキングコースなんて無いだろうと
言う。

『お前、忘れたの?あそこはセメント工場のハゲ山だったでしょう』

そう言われたK子さんは、子供の頃に電車から見えた、木のない
削り取られた灰色の山々をハッキリと思いだした。

 

678: 本当にあった怖い名無し 2009/05/30(土) 13:02:51 ID:LS2R9xbv0

Sに電話して問い合わせるのもためらわれたK子さんは
サークル仲間に電話して、Sの事を聞いてみた。

『ああ、あの合コンのきれいなお姉さん?』

サークル仲間によると、みんなSとはあの時が初対面で
幹事役が聞いたところだと、都合が悪くなった女の子の
代理で来たと言っていたという。
じゃ、その都合が悪くなった女の子は?と聞くと
友達の友達とかいう人で、良くは知らないし、携帯とかの
番号も聞いていない。

翌日の待ち合せにはK子さんは行かなかった。
Sから電話が有ったらどうしようか?と怖かったが、電話は
掛かって来なかった。
友達と一緒にSの携帯に電話してみると、何度掛けても
呼び出し音が鳴り続けるだけで、二日後には通話不能と
なった。

調べてみると、Sの言っていたハイキングコースなど無く
キャンプ場も存在していない事がわかった。

学校に問い合わせると、Sという生徒は在籍していなかった。
都合が悪くなったという女の子も未だに見つかっていない。

 

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