私は以前、千葉県I市のI駅から徒歩7分の所に2年程住んでいた。
そこを選んだのは、犬を飼っていたので広くて安いところを借りたかったから。
3DKオール電化で64kだった。
多少外観は古いけど中は綺麗だし、都内までは約40分。まあまあ快適だった。
私はそこに暮らしながら都内のキャバクラに勤め始めた。
まずそこが頭がおかしいと思うんだけどされはおいといてくれ。
生活は荒れた。
キャバクラと言っても稼げなかった。
と言うか、初めてな事もあっていいように使われた。
売上月150あっても月収は20そこそこだった。
毎日朝3時頃帰宅で休みは日のみ。
ほぼ酔っていたり疲れていて何も出来ない。
東北に居た頃から溺愛している飼い犬に構ってあげられない毎日。
体が弱い子だったから病気通いは必須なのに。
そんな日々を過ごしていたある日、
その犬が死んだ。
死因はわからない。
その二日前辺りからご飯を食べなくなって、これはおかしい、
明日は休みだから一眠りしたら病院に連れて行こうと思っていた矢先だった。
私はもう完全に気が狂ってるんじゃないかと思うくらい泣いた。
犬はその日のうちにお骨にしてもらった。
自暴自棄とはああいう事を言うのだろう。
より、生活は荒れた。
後悔してもしてもしきれなかった。
死にたかった。
亡くなって一週間も経ったころだろうか。
家でうとうとしていたら
玄関から誰かが入ってくる気配がした。
え?誰?と思いながらも、体を動かすことが出来なかった。
はじめて「金縛り」にあった。
私が寝ている時間は昼間だったので、
いろいろな事を考えた。
親?不動産屋?あり得ないのに。
入ってきたそいつは、私が寝ていた居間(寝室の布団では犬が死んで以来寝れなくなった)の引き戸を開けて入ってきた。
冷や汗と動悸が止まらなかった。怖い。
長くなった。まとめるの難しい。
枕元に、確実に居る気はするのに、相変わらず体は動かない。
そうこうしていると、そいつは私の頭を踏んで、
掛けていた毛布に入ってきた。
懐かしい感触。
飼っていた犬の感触だった。
そこで体が動くようになった。目が覚めた様な感覚。
勿論そこに犬は居ない。
玄関の鍵も閉まっている。誰か来た形跡も無い。
泣いた。号泣した。
もしかしたら夢だったのかもしれない。
夢でもいい、会いたい、また会いたい。
私はその日から眠る事だけが唯一の楽しみになった。
その事があってからその家には約一年半住んだのだが、
誰か入ってくる足音、気配→引き戸を思い切り開けられる
そんなパターンの金縛りに度々遭うようになった。
残念ながら犬は一度も出て来てくれなかった。
犬を亡くして病んでいたから、で説明がつくのかもしれない。
それでも初回の金縛りの時来てくれたのは犬だったんじゃないかと今でも思っている。
その家から引っ越して今、約3年が経つ。
今の家では金縛りも無くなった。
元々、霊感も無いし霊的な物に物凄く興味があるわけでもないので、
この話はたまに話のネタに人に話す程度だった。
そうしたら今日、冒頭に話した「霊道」の存在を知った。
そしてピンと来た。あれ?もしかしてあの家…。
まさかね、と以前住んでいた家の地図を開いた。
霊道の条件とは、私の見たサイトでは「北東→南西」「お墓とお墓の間」だったのだが、
見事に当てはまった。
玄関から居間の引き戸、そしてベランダの窓はそのラインに並び、
建っている場所はI霊園とIO霊園の真ん中。