怖い話

【不気味な話】病院に響く鈴の音

718: 04/08/09 19:57 ID:ZMuM7wvM
これは又聞きの話なんで真偽の程は定かではないとしておこう。

DVC00227

友人がバイクで事故ったとの知らせを聞いた斎藤さんが
担ぎ込まれたという病院に仲間2人を連れて出かけた。
幸いにして彼の怪我の度合いはそれほどでもなく、
バイクが全損になったのは残念だが、命には代えられないと安堵した。
その夜のうちに帰宅できるとの事で車で自宅まで届けるために
斎藤さんは車で来て欲しいと頼まれていた。
別段変った事故でもなく、単なる自損事故、ここまでは。
その後、検査で彼の脳に損傷が有るかもしれないとの事で
精密検査を至急行うに至って、斎藤さんは病院で待つ事になった。
運ばれたのは午後6時、斎藤さんが着たのは午後7時
夕食を食べに出かけて病院に戻り、再検査になったのが午後9時で、
時刻はそろそろ午前0時になろうとしていた。

 

719: 04/08/09 19:58 ID:ZMuM7wvM
「あいつ大丈夫なのかなぁ。」不安がる斎藤さんを仲間達は
「あいつに限って、そう簡単には死んだりしないよ」となだめた。
「俺もそうは思うんだけど・・・」塞ぎ込む斎藤さんが視線を床に落とした時
どこからか鈴の音がする。普通のチリチリという音ではなく、
お遍路さんが持ってる少し大きいチリィ~ンチリィ~ンと鳴るやつ。
「どっからだろう?」顔を上げて右手奥の廊下を見ると、
すでに消灯した病棟へ続く廊下は溶け込むような闇に続いている。
「あっちか」斎藤さんが向き直ると、仲間達もその方向を見ている。

「チリィ~ン・・・チリィ~ン・・・チリィ~ンチリィ~ン・・・」
少しずつ、しかも確実に近づいてくる音、皆は生唾を飲むように固まる。
姿無き鈴の音はとうとう皆の前まで迫り、座っていた長椅子の周りを
ゆっくりと回り始めた。不思議と恐怖感は無く、それよりも不安が襲う。
数分、いや数十分ほどだったか、長椅子の周りを回っていた鈴の音は
ゆっくりと溶け込むような闇の方向へと吸い込まれていく。
「何なんだあれは?」斎藤さんは思わず声を出した。
それで金縛りが解けるように全員がほぉっと大きく息をついた。

 

720: 04/08/09 19:59 ID:ZMuM7wvM
それと同時に、薄い明かりの差していた部屋、手術中という赤いランプが
ポッと消えて中から医師が出てきた。
「危なかった、あのまま帰していたら危なかったかも」
外傷性くも膜下出血、友人は生死の境をさ迷っていたのだ。
家族に連絡を取り、皆で一旦斎藤さんの家に帰ることになった。
少し落ち着いてビールを飲み始めた時に、一人がつぶやいた
「あのさ、さっきの鈴の音、ばあちゃんに聞いた事があるんだけど」
「死人を迎えにくる案内人が持ってる鈴ってあんな音だって。」
脳に広がる血の塊を取り除く手術、ちょうどその頃、鈴は迎えに来ていた。 

凍るような静寂の中に聞こえる、冴えた冷たい音を斎藤さんは今も覚えている。

 

 

-怖い話
-,

Copyright© 2ちゃんねるのこわーい話まとめ|怖い話・都市伝説まとめ , 2024 All Rights Reserved.