590: 2010/07/22 08:38:01 ID:KMnqCH490
肝試しネタは多々あるけど、キニシナイ
長野県のとある地区に一軒の廃屋がある。
今から10年ほど前、一家4人が突然、謎の失踪をしたという、いわくつきの物件である。
5年ほど前の夏、東京のとある大学の『オカルト研究会』通称『オカ研』がこの廃屋に
調査というか、肝試しに訪れた。
男が3人、女3人の6人で、男をそれぞれA,B,C、女をD,E,Fとする。リーダーはAだ。
6人は件の建物に車でやって来たのはいいのだが、たまたまAは体調を崩してしまい、
車の中で休憩することになった。
そのため、廃屋の調査はAを除く5人で行うことになった。
さて、5人が廃屋の中に入ってから30分ほど経った頃、Dが血相変えて飛び出してきた。
「みんなが消えちゃった。どうしよう・・・(号泣)」
泣きじゃくるDをなだめて、どういうことか聞き出した内容は次のようなことだった。
ことのきっかけはBが床に地下室の入り口らしい蓋を発見したことだった。
多分、5年ぶりに開かれたであろう地下室の中は真っ暗だったが、かなりの奥行きが
あるようだった。
まず、BとCが懐中電灯を片手に入ってみた。
中でごそごそと何かを探している物音が聞こえていたが、「ザーッ」と何かが崩れるような
大きな物音と「うわっ!!」という声がしたかと思うと、それっきり何も聞こえなくなった。
何かあったのだと思い、EとFが助けに入ることになった。
そして、仮に4人が出てこなかった場合、Dが外に助けを求めるということになったのだが・・・
EとFの2人が入ってしばらくすると、さっきと同じ「ザーッ」という音と短い悲鳴のあと、
静寂が訪れた。
不思議なことに埃や土煙がほとんど舞い上がって来なかったらしい。
気味が悪くなったDは、入り口に首を突っ込んで4人の名前を呼んでみたのだが、暗闇の中に
返事も人の気配もなかったそうだ。
しかも突然、中に引きずりこまれそうな感触を覚えた彼女は、蓋を閉じるとそのままAに
助けを求めたのだという。
Dを連れてAが中に入ったのだが、確かに4人はいなくなっていた。
地下から聞こえてくるはずの物音もないようだ。
いやな予感を覚えたAは警察に連絡した。そして、警察の現場検証が行われた。
検証の結果、地下室は野菜などの貯蔵庫として作られたらしいのだが、使用された形跡が
殆ど見られなかったそうだ。
AとDの二人は参考人として現場検証に付き合わされたのだが、Dがしきりと首をかしげている。
「あのときにはかなり深く感じたのだけど、今はなんだか低くなっているような気がする。」と。
それを警察に伝えると、「念のため、床を掘り起こしてみよう。」ということになった。
すると、地中から4体の白骨が発見された。
ところが、この白骨は大人2体、子供2体のものであった。
鑑識の結果、5年以上前のものであり、『オカ研』とはまったく関係がないということがわかった。
つまり、失踪した一家のものではないか?という結論である。
その後しばらく捜索が続けられたのだが、結局4人の消息はつかめないまま捜査は打ち切られた。
そして、AとDは『オカ研』のメンバーと再会することなく大学を卒業し、故郷に帰った。
その後、Aは地元の不動産屋に就職したのだが、Dは精神を病み、失踪してしまったそうだ。
失踪直前の彼女は「みんなが呼んでいる。行かなくちゃ・・・見殺しにはできない。」と
つぶやいていたらしい。
あの事件から5年後・・・つまり現在のことだが、あの廃屋は地下室を含め取り壊されることになった。
偶然にも件の物件は、Aの勤めている不動産会社が管理していた。
Aはその解体現場に立ち会っている。
屋根が壊され、床が外され・・・・地下室が姿を現したとき、Aはその目を疑った。
あのとき(5年前)よりもさらに床が高くなっていた。