スレ違いかも知れませんが6年前の話しです
少し長くなりますがお許しください
私はバイクで一人旅をするのがライフワークで
毎回目的地だけ決めてあとはノープランで旅をしています。
宿泊先は主にキャンプ場ですが適当な場所で野営を
することもあります。
6年前の夏
お盆休みがとれたので2泊3日で富士山を一周する
ツーリング計画をたてました。
当時住んでいた宇都宮を早朝出発し寄り道をしながら
午後3時ごろに西湖に到着 一泊目は西湖で
テント泊することにしました。
西湖にはキャンプ場が多数ありますがお盆シーズンのため
どこもテントを設営するスペースがありません
やむなく樹海のすぐ近くにある湖のキャンプ場へ行ったのですが
不思議な事にこのキャンプ場はガラガラで湖畔のサイトに
2張りだけテントが設営されているだけでした。
さっそく受付をして設営 一服してから買い出しに出かけました。
キャンプ場から最寄りのコンビニまで片道20分は
かかるでしょうか
続き
買い物を終えてキャンプ場へ戻る途中信号待ちをしていると
前方から犬がとぼとぼと歩いて来ました。
犬は雑種の茶色い中型犬でとても痩せています
そして口にはなぜか枯れ枝をくわえていました。
犬が私の横を通り過ぎるときにチラッとこちらに視線を
向けたので
私は思わず「おい犬 どこ行くんだ?」と声をかけました
犬は一瞬立ち止まりわずかに尾を振ってまた歩いて行って
しまいました。
キャンプ場に戻ったころには夕暮れでした
私はささやかなディナーを済ませた後テントに潜り込み
FMラジオと買ってきたサラミをつまみにウイスキーを
チビチビやっていましたがいつの間にか寝入ってしまったようです
私は夢を見ていました
続く
続き
私は夢を見ていました
暗い森の中
大きな木の下に誰かが座り込んでいます
ショートヘアーの色白な女性で三十歳くらいでしょうか
彼女は携帯電話を耳に当てていましたが携帯電話を
耳から離すとダイヤルをしてまた耳に当てる
少しするとまたダイヤルをして耳に当てる
そんな行動を何度も繰り返しています
私は低い位置から彼女の行動を見ていました
気がつくと彼女は俯せに倒れています
私は彼女に近づき彼女の臭いを嗅いでいました
彼女からはとても甘い香りがします
どこかで嗅いだことのある香りでしたが
いつどこで嗅いだのか思い出せませんでした
続く
ガサガサという物音で目を覚ましました
テントの外に何かが居るようです
時間を確認したら1時半
こんな時間にテントの周りをうろつくなんて
タヌキかイタチかな?と思い
テントの外をそっと覗くとどうも犬のようです
私に気がつくと犬は尾を振って近づいて来ました
口に枝をくわえています。日中に会ったあの犬でした
腹が減っているのかなと思い残りのサラミを犬に与えると
あっという間平らげてしまい まだ物欲しそうです。
朝食で食べようと思っていたサンドイッチも与え
私は「もう無いよゴメンな」といってテントにもどり
寝てしまいました。
早朝
目を覚まし外にでると犬はいませんでした
ふと足元を見ると枝が落ちていました。
犬がくわえていた枝のようです
枝を手に取ってみて驚きました
それは枝ではなく『骨』だったのです。
忘れていったのか食い物をくれたお礼のつもりなのか
わかりませんが
「こんな事もあるんだな」としみじみと骨を眺めていたら
不意に甘い香りを感じました。
あっ
この骨
彼女の
私の頭の中で全てが繋がりました
夢の中で私はあの犬でした
甘い香りは彼女の香りです
そして私の手に骨が有ります
きっと彼女の骨でしょう
犬は私に彼女の骨を託したのです。
これは私の想像ですが
彼女は樹海で亡くなられた方で
犬はたまたま居合わせた犬
亡くなった彼女のご遺体は骨になり
その骨を犬は大切に持ち歩いていた
なんらかの作用(霊的な?)で私が夢を見た
私から餌を貰ったからかわからないが
犬は私に骨を私に託した
犬から託された骨
私はどうしたらよいのかわからず
途方に暮れてしまいました
警察に届けると言ってもどう説明したら良いかわからず
はたしてこの骨が人の骨なのかもわからない
ではここに放置していくか それとも湖に投げ入れるか
あれこれ悩んでいると
あの犬がまた戻って来たのです。
私は犬に骨を渡すと
犬はそれをくわえて行ってしまいました
犬は骨を忘れていっただけなのか?
じゃああの夢はなんだったんだ?
あの甘い香りはなんだ?
もう訳がわからない事だらけで
混乱してしまい
しばらく呆然と立ち尽くすばかりでした
私は残り二日間のツーリングを止め
帰路に着きました
後日 あの香りは金木犀の香りだった事に気づきました
あの時は金木犀の開花時期では無かったのですが不思議です