悪夢にまつわる話
私はよく夢を見ます。何でもない夢も見るけどどちらかといえば
悪夢をよく見るほうです。
これは私の体質かもしれないのですが、寝るときに自分の体温以外の
熱源があると必ず悪夢を見ます。
今みたいな寒い時期、コタツが気持ちよくてついウトウト・・・悪夢で目が覚める。
なんて事はしょっちゅうです。
今から話すのは二年ぐらい前に起きた怖かった体験です。
その頃私は、以前住んでたアパートから新しく職場に近いアパートに
引っ越してきたところでした。
年末も近かったせいか仕事も忙しく、引越しの整理もなかなか出来ぬまま
帰ってきては寝て仕事に向かうという生活でした。
そうして年末に入り無事仕事納めを終えて帰宅した私は、これからの
長い正月休みを前に開放感に浸りながらうきうきしていました。
さて何をしようと思考を廻らせている時に、昔TVだかネットだかで
見聞きした事を試してみようと思い立ちました。
それは、三日三晩悪夢を見ると良くないことが起こるというものです。
私自身怖い話や映画など好きな方だったので怖いという気持ちも
あまりなくどんな事が起こるのか楽しみでした。
コタツに入り、眠くなるまでネットを見たりゲームをしたりしてました。
私の場合、悪夢にパターンがあって大体3パターンの内のどれかをよく見ます。
見るのも嫌いな蛇に囲まれて身動きがとれず起きるまでずっと固まってる夢。
何かを探してずっと走り回ってる夢。
家族の姿をしてるけど全く話が噛み合わず次第に怖くなってくる夢。
初日に見た夢は駐車場に止めたはずの車が無く、焦りながらずっと
車を探し回り疲れ果てる夢でした。
ハッと目を覚まし酷い倦怠感を覚えながらコタツをでてベッドに潜り込みました。
二日目に見た夢は初日に見た夢と同じで駐車場に止めたはずの車を
探し回る夢でした。
(またこの夢か・・)と思いつつコタツを出てベッドへ。
三日目に見た夢は家族の夢でした。実家が舞台で姿は紛れも無く家族
なんですが何かが違う。
話しをしてもこちらの話と噛み合わず、意味不明な会話を続けるという夢です。
無事?三日三晩悪夢を見た私は(さて、何が起きるか・・)と先ほど見た夢の
余韻を引きずりながらベッドに入りました。
その日はとくに何も起きず、少々がっかりしながらももう一日待ってみようと
普通に過ごしました。
次の日も特に変わった事など無く、(まあ、起きるわけ無いよなw)と
苦笑していました。
でもまあ、折角の連休だしこの際とことん悪夢を見てみようかと思い
いつもは悪夢を見た後に直ぐにコタツをでてベッドに戻るのですが
そのままコタツで寝続ける事にしました。
私は悪夢を見るときは寝てから2時間ぐらいで目が覚めるのですが、
その日も同じで夕方に寝始め
二回目の悪夢を見たときには22時ぐらいに起きたと思います。
(いっつも同じ夢ばかりみるなあ)と思いながら今見た夢を思い出しながら
余韻に浸り再度眠りについた時でした。
(あの情報はやっぱ作り話だったのかな)(それとも情報を錯誤しているのかな)
とか考えながらうとうとしている時
(そういえば三日三晩じゃなくて同じ日に連続で悪夢を見ると・・・だったような)
と、思いながらも眠っていました。
気がつくと一人自分のアパートの部屋の中央に立っていました。
自分の部屋なんですが家財道具など一切無くワンルームの部屋の中央に
ボーっと立ち尽くしているんです。
(うん?体が動かない・・)金縛りにあったように体が全く動かなくて
直立不動のまま立っていました。
次第に恐怖心がこみ上げてきてなんとか体を動かそうとしている時に
背後に気配を感じたんです。
(何か・・いる)それまで動かなかった体が自分の意思とは無関係に
背後へと向き直りました。
背後にいたのは小学生ぐらいの男の子でした。
映画「呪怨」にでてくるような男の子で下を俯いて体育座りをしていたんです。
体操服みたいな格好をしていて肌が青白い以外は特に変わったところも
ない様な感じだったのですが
見た瞬間私の中で(これはやばい・・)という感情が噴出しました。
一気に汗が噴出し心臓の鼓動が早くなるのがわかりました。
相変わらず体は金縛りにあったように自由に動かせずにいましたが、
じょじょに勝手にその子の方へと向かっていくのです。
その子を見下ろす形で対峙した時にその子が顔を上げました。
表情はなく、青白い顔で私を凝視しています。
恐怖心で一杯になっている私はパニックになりながら心の中で
(神様助けて!助けて!)と何度も繰り返していました。
しばらくそんな状態が続いていた時、勝手に腕が上がり始め人差し指を
突き出す形でその子のおでこへと動き始めました。
(なんなんだこれ?!夢なのか?現実なのか?!)必死に抵抗しようにも
腕は勝手に動き指先がその子のおでこに触れたんです。
指先からヒヤッとした感触が流れ込んできてゾクッとしたらなんと指先が
どんどんおでこに吸い込まれていきました。
(うわあああああ!!!)声にならない声をだして抵抗しようにも指が
どんどん吸い込まれていきます。
指からは冷たく、なんだか粘土の中に指を突っ込んでいるような
感覚が伝わってきます。
私は必死にこの状況から逃げ出したいために知ってる限りのお経を
心の中で唱えていました。
人差し指が第二間接までめり込んだ時、「うわあああああああ!!」と
現実の叫びで飛び起きました。
そう、夢だったんです。
人差し指にはあの生々しい感触がのこり衣服は寝汗でぐっしょりしていました。
今まで見たことのない悪夢とあまりにもリアルな描写だったために
しばらく体の震えがとまりませんでした。
時計をみると0時を少し回った所でそれから朝までは寝るのが怖くて
音楽をかけたりアニメをみたりしながら気分を紛らわせました。
翌日からはさすがに悪夢を見るのが怖くなってコタツで寝ることは
しませんでした。
(実験は成功したのか?これが良くない事だったのかな)と
妙に納得したのを覚えています。
その後の生活では特に変なことも無く、あれで終わってよかったと思いました。
ただひとつだけ私の悪夢のパターンが増えたこと意外は。
私が体験した悪夢にまつわる話はこれで終わりです。
悪夢を良く見るという方がいらっしゃれば体験してみてはどうでしょうか。