あんまり怖くないかもしれんが、俺が高校生の頃の不気味な話。
結構古い学校で校舎とかもなかなかボロかったんだけど、そこで軽音楽系の部活に所属して、ギターをやっていた。
練習でよく使う場所が視聴覚室っていう、体育館をちょっと小さくしたような、まぁ前に舞台があって、3学年の生徒がちょうど座れるぐらいの座席があって、ていう感じのところだった。
そこの隣に「視聴覚準備室」っていう小部屋があったんだけど、まぁ控室みたいなものがあって、小さな防音室(俺らはスタジオって呼んでた)も併設されていた。
バンドで合わせて練習するときは視聴覚室のステージでやってたんだけど、個別でギターやベースの練習するときはその防音室のスタジオを使っていた。
が、そこの部屋がちょっと不気味だった。
部屋の壁の上の隅の方にお札が一枚貼ってあって、その付近の天井に茶色いシミみたいなものがついていた。
俺らの間では、
「昔ここで首を吊った人がいる」とか噂していたのだけど、真相を知る人も、話してくれる教師もいなかった。
最初は気味が悪かったが、ボロい学校ってことで、空調が使える数少ない部屋だったから、夏場なんかはかなり重宝して使用していた。
ただ、1人でギターを練習していると、アンプから人の声?みたいなノイズが聞こえたり、急に電源が落ちたりすることはあったが、エレキギターはラジオを拾ったりすることもあるから、あまり気にはしていなかった。
ある夏休み中の部活の日、ステージでバンド練習を終えた後に、ボーカルをしていたMちゃんが、
「今日、○○高校の人来てた?座席の一番後ろに座ってたね。見たことない人だったけど」と言い出した。
Mちゃんはちょっと変わった娘で、唄はとても上手だったけど、なんとなく霊感とかそういうのが強うそうな雰囲気の娘だった。
軽音楽部は他の学校の軽音楽部との交流も活発だったので、学校に他校の生徒が来ることはよくあったのだが、俺は演奏中、Mちゃんが言う他校の生徒は全く目にはいってなかった。
「本当?○○高校のやつかな?」
「たぶん。学ランだったし」
ちなみにうちの学校はブレザーだった。
まぁ、特に気にもせず、その日の練習を終え、後日、顧問に用事があり、Mちゃんと職員室に行ったとき、本棚に歴代の卒業アルバムがあったんで、顧問が不在だったこともあって、Mちゃんとなんとなく見ていたんだ。
1970年代のアルバムを見ていた時に、急にMちゃんが青ざめた顔で、
「あっ!・・この人こないだ客席にいたブレザーの・・」
と言って震えだした。
そのアルバムのページを見ていると、あるクラスの白黒の集合写真の端に四角い枠で縁取られた(休んだ生徒がなるやつ)男性がいて、普通のカメラ目線とは明らかに違う、凄い形相でこちらを見ている気がした。
その人が部屋のお札や噂の自殺者と関係しているのかはわからないが、さすがにそれ以来、俺はそのスタジオは使わなくなった。