オタク要素があります、すみません。
五年ほど前のほんのり怖かった話。
オタク要素があります、すみません。
就職できず大学を留年して学生寮を追い出されたので、親戚が持っていた空き家に住んでいました。
その親戚はケア施設に入っていて、母が時折見舞いやら世話やらをしていたので、一年だけということで、住む許可を貰ったんです。
その家は、築50年くらい、昔はアパートだったのを、何年か前に普通の家のように改築したものです。
アパートといっても風呂なし共同廊下だったので。
ちなみに部屋は全部で十二部屋ありましたが、そのうち私が使っていたのは二部屋だけです。
で、改築する前に、ずっと一部屋だけ住人のいる部屋がありました。
他の部屋はもうずいぶん昔に出て行ってしまったようですが、身寄りのない人なのか、家賃が安いそこに、ずっと二十年くらい住んでいたそうです。
その部屋は北向きで、なんとなくじめじめした感じであまり近づかないようにしていたのですが、
ふと、大学で「お化け屋敷みたいな家に住んでいる」という話題を出して、携帯で撮った写真を見せました。
色々な写真があったのですが、一人の友人が最後まで住人のいた部屋のすりガラスの窓のあるドアの写真を見て
「中からめっちゃ睨んでるよ」と言いました。
割と物静かなタイプの友人ですが、そういった感覚が鋭いらしいという噂でした。
ちなみに、彼のおばあさんはもっと鋭いらしいです。
(どういう場所が一番怖い?と聞いた時に「古墳」と言われました……)
さすがに怖くなり、当時集めていたオタク関連グッズをその部屋の前に山積みにして、
ポスターをすりガラスの上から目張りをするように貼っているうちに、
忙しさに紛れて気にならなくなってしまいました。
それからも、何もないのに蛍光灯が外れたり、明らかに歩くような物音がしたりと色々ありましたが、
就職活動が五十社受けても内定が決まらず、
こっちだって大変なんだと、むしろ逆ギレさえしていました。
その後ようやく就職が決まり、大学も卒業してその家も出ましたが、
さらに次に住んだ親戚の一家の奥さんは、それまで健康だったのに、ロイローゼなのか急に精神科に入院してしまったそうです。
私は今でも元気ですので、やっぱりオタクポスターが効いたのかもしれません。