自分は見た夢を忘れてしまうことが多いのだが、その夢だけは今でも鮮明に覚えている。
夢で思い出した。
自分は見た夢を忘れてしまうことが多いのだが、その夢だけは今でも鮮明に覚えている。
その夢は見始めから変だった。
そう夢にタイトルがあるんだ。
タイトルは『アシュクラフト殺人事件』。
場所はどこか外国の田舎で街というよりも村。
市民会館のような村の集会所で殺人事件が発生。
現場に駆けつけると『DANGER KEEP OUT』という黄色いテープ(バリヤーテープって言うんだね)が、辺り一面に張り巡らされている。
ここでふと気づく。
どうやら今自分が見ているのは捜査官らしい人物の記憶らしい。
テープを掻い潜って集会所の中に入ろうと、
入り口のドアに手をかけたら突然視界が白黒になった。
周りに沢山いたはずの捜査員達は消えて、バリヤーテープも消えていた。
後ろから男の声が聞こえる。
『早く中に入れ』
言われるままに中に入ると、中は体育館くらいの大きさのホールで、中央にパイプ椅子が並べられていて、十数人がそのパイプ椅子に座っている。
自分もそこへ行こうと歩き出すが、ここでまた気づく。
どうやら今自分が見ているのは殺された被害者の記憶らしい。
後から入ってきた男がドアを閉めると鍵を掛ける音が聞こえる。
何故、内側から鍵を掛けるのかと思い振り返ると、男は両手に刃物を持って物凄い形相でこちらを睨んでいる。
パイプ椅子に座っていた人達がガタガタと立ち上がって何か喚いているが自分には聞き取れない。
しかし、この両手に刃物を持った男が犯人だと何故か理解できた。
俺は全速力で犯人から離れる。
犯人は中央に集まっていた人達に向かって全力疾走する。
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う人達。
よく見渡すとこの建物には窓が無く、出口も犯人が施錠した一箇所だけのようだ。
ある男がパイプ椅子を畳んで犯人に投げつけた。
しかし犯人はひらりと避けてしまう。
両手の刃物を振り回して追いかけてくる犯人、
パイプ椅子を振り回して応戦しようとする人、
距離を取ってパイプ椅子を投げる人、
ただ逃げ惑う人、
施錠された出口を叩いて助けを呼ぶ人、
それをじっと観察する自分。
逃げ惑っていた一人が散乱したパイプ椅子に足を取られて転倒。
そこに犯人が飛び掛る。
そこで目が覚める。
最悪な気分だ。
しかも何が最悪かと言うと、何故だか自分は生存者がいないという事を知っていたから。
後から『アシュクラフト』についてGoogleで調べたら、カナダに実際に存在する街がらしい
何でこんな知らない街の殺人事件の夢を見たのだろうか。