黒い人系の体験を書いてみる。
数年前、夏休みを利用して、俺と友人たち計4人は車で寝泊まりしながら伊勢神宮へ旅する事にした。
通る地域に昔の友人Aが引っ越して住んでいるので、懐かしい顔を見がてら彼のアパートにも泊めてもらった。
Aの部屋は居住スペースはかろうじて保ってるが、それ以外は天井まで荷物やダンボールが積み重なる状態で、人手の多い時に片付けようって、総掛かりで大掃除を始めた。
男5人でほぼ丸1日かかる掃除だったw
すっかり奇麗になって風通しも良くなり、地元の美味しいものを皆で食べて飲んで楽しかった翌日から異変が起きた。
早朝からAが雑巾がけをしている。
心がけが変わったのか?起き出した友人たちもつられたのか掃除を再開している。
俺は朝からめちゃくちゃだるくて悪いけど寝させてもらっていた。
昼頃友人の一人が俺に「なんか変なんだよなーこええ」って。
荷物で埋まってた場所に黒い人影がいたんだと。
誰かを見間違えたんだろうと笑うと、直立した姿勢のままで階段を上がって行った、人間の動きじゃねえと言う。
そういうことは、俺らはすぐに出かける人間だけど、Aはここに住んでるんだから、気分悪いだろうから騒がないほうがいいと言った。
そいつも、だからAに言わずに俺に言ったんだよと。
この時俺は明らかに熱あってハアハアしてた。
しばらくしたら、別のやつがおじや持って来てくれて、「ここだけの話だけど、帽子をかぶった真っ黒い男がいる」と言う。
黒い紙を切り抜いたみたいに真っ黒で正直怖いからもう出たいと。
そして残る一人は、体温計を買って俺の寝てる布団に来たら、真っ黒な影がイビキかいてたって言う。
さすがに怖くなったけど計ったら40度超。人生であんな高熱初めてで、とにかく俺のせいでみんなは動くに動けない状態になってしまった。
溜め込んだゴミ?に何かが取り憑いてて、掃除をしたから居場所がなくなってウロウロしてんのかねとか話したけど、Aには言えないし、足ひっぱってるのは俺だし。
結局その晩もAのところに泊まることになって、俺は奇妙な夢を見た。
熱のある時ってキモイ夢を見がちだが、それはめちゃくちゃ明るい緑の背景に白い光の柱が立ってた。
その向こうに黄色く光る四つ足の生き物がいて、奇麗だな~と見てたらそいつはいきなり牙を剥いて白い柱に飛びかかってきた。
同時に喉を噛まれた感覚。あ、死ぬと思ったら次は左足のつま先から
何か入って来て膝で止まり、今度は右足から入って喉まで上がってきた。左膝は捻挫の治りかけだったんだ...
そして場面が変わって、何か光る狐みたいな動物がいた。夢の中で、そこは伊勢のどこかだった。
翌朝、Aが様子を見に枕元に来て俺の事を「かわいそうだなー、かわいそうだな~」と言う。
その意味はいまだにわからないけど、熱はだいぶ下がって動けそうなのでその日にAのアパートを出て伊勢に向かった。
車中で友人が言う事には、Aはどこからか古ダンボールを持って来て、せっかく掃除した後に置いてたって。
それから友人の一人が言うには、Aは犯罪歴があるんだってさ。
他のみんなはそんなこと初めて知って驚いたし、犯罪の内容をそいつは詳しく言わなかったけど、暴行とか詐欺的なのだって。
大人になってからの趣味を通じた付き合いしかなかったからわからなかったし、そんなこと知ってるなら距離置いたのにな。知ってれば黒い人のことも、大げさに騒いでビビらせてやればよかったけど、A本人が必死に雑巾がけしてたし、彼にも何かあったんだろうな。
ちなみにAとはその後付き合いはなくて、Aの犯罪歴バラした友人の、なぜか彼女の職場の近くに出没した時期があったらしいがすぐ消えたらしい。