611: 本当にあった怖い名無し 2015/06/29(月) 20:29:54.53 ID:IV5DRVsI0.net
真偽のほどは定かではないが、ウチらの高校は戦時中陸軍病院になっていて
地下は死体置き場だった、という噂があった。
で、その地下1階にあるのが理科室、調理室、倉庫、美術室。
当然怪談めいた噂もいくつか伝わっており、その中の一つに
「美術室のトルソー(男の胸像)は人間の死体を石膏で固めて作られている」というのがあった。
が、本気で信じている者はほとんどおらず、
ウチら演劇部も放課後に平気で美術室で稽古をしていた。
当然怪談めいた噂もいくつか伝わっており、その中の一つに
「美術室のトルソー(男の胸像)は人間の死体を石膏で固めて作られている」というのがあった。
が、本気で信じている者はほとんどおらず、
ウチら演劇部も放課後に平気で美術室で稽古をしていた。
んが、ある日。演劇部の数名は見てしまったのだ。
小さな赤蟻が整然と列を成し、トルソーの脇の下に開いた針の先程の穴へ入って行くのを。
ウチらは最初、へーと眺め、それからヒッと息を呑み、一斉にギャアッと叫んで逃げ出した。
多分、全員が同時に頭の中で同じ連想をしたのだと思う。
なぜ蟻がトルソーに入って行くのか? ……それは、トルソーの中に何らかの動物的栄養分があるから。
今から思うと、単に古くなったトルソーの中に蟻が巣を作っていたのかもしれない。
だから、そのこと自体は不思議でも何でもないのだ。
それよりも、あの一瞬に全員がはっきりとテレパシーで繋がった感じ、
同時に同じことを考え、同じレベルで恐怖に襲われた感覚を、すごく奇妙な実感として覚えている。