前、霊感のある親友の話をしたんだけど。
ソイツに聞く限り、自分ではとても怖いと思った二つの話を書くね。
霊感のある親友(以下、Rとする)は、数年前、工場に勤めてた。
仕事の内容は説明されたんだけど、よくわからない。
なんか、機械で金属を削ったりして部品を仕上げる仕事、という感じ。
その工場には、キヨシさんという先輩がいた。
面倒見もよく、ノリも良いということで、Rとは非常に馬が合ったようだ。
Rはその工場に勤めてすぐ、キヨシさんと仲良くなったわけ。
そんである日、キヨシさんが自分の家に遊びに来いとRを誘った。
翌日が休みということもあって、仕事後にキヨシさんの家に行ったんだ。
キヨシさんの部屋で、二人してあーでもない、こーでもない、
取り留めのない話をしてるうちに時間はあっという間に過ぎてく。
時刻は0時をまわったんで、「そんじゃ、そろそろ寝ますかー」という流れになったそうな。
キヨシさんは窓際に置いたベッドで、Rは部屋の真ん中でごろんと横になった。
キヨシさんちは普通の住宅街にあるんだけど、さすがにもう夜中ということもあって、
窓の外はシーンと静まり返ってる。
二人はその静寂の中で目を瞑って横になってたわけなんだけど、なんか妙な音に気付いたんだ。
ボソボソ、ボソボソ、、、中年のオッサンが呟いてるような声が、窓の外から聞こえてくる。
R「なんかうるさくないっすか?」
キヨシさん「あぁ~。酔っ払いのオッサンでもいんのかな」
二人は気にせず寝ようと思ったんだけど、ボソボソ、ボソボソ、、、ず~っと、窓の外から呟く声が聞こえてる。
二人とも、「まだ何か言ってるみたいだなー。」とかわざわざお互いに言うのもめんどくさいんで、じっとしてる。
でもおかしいのは、数分間もずっと同じ距離感で、ボソボソ、ボソボソ、声が聞こえてくることだ。
なんだこれ?嫌がらせか?これじゃ寝れねーよなー・・・、とRが思っていたその時、
キヨシさん「ッあァッ!!」
キヨシさんがいよいよブチ切れたらしく、ベッドの上に上半身を起こした!
そんで、窓に面した壁を、拳で思いっきりぶん殴った!ドンッ!!
その瞬間、
「 ヲ イ 」って、低い男の声が二人の耳元で鳴った。
R・キヨシさん「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
R「キヨシさぁ~~~~~~~~~~~~~~ん!!!!!!ヤバイヤバイヤバイ!」
二人とも恐怖のあまり、ひしっと抱き合ったそうだ。
Rとキヨシさんは、仕事中にも恐ろしい目に遭っている。
それは、夜勤の時だった。
仕事開始前に、みんなは作業場でミーティングするんだけど。
作業場ってさ、やたら天井が高くて、壁の高い位置には時計なんかが掛かってたりするよね。
この工場もそうなんだ。ミーティング中にRは、作業場の壁に掛けられている時計に何気なく目線をやった。
するとなんと、時計の横に女の白いシルエットがフワフワ浮いてるのが見えたんだ。
大きさも、人間とほぼ同じ。
Rはすぐに目をそらした。やっぱアレなんかな、変なもんとか怖いもん見ちゃうと、人間って目線そらすんだね。
んで、ミーティング後の作業開始前になって、そんなRの様子を眺めてたキヨシさんが話しかけてきた。
キヨシさん「お前、見えた?」
R「見えましたよ~・・・なんすかアレ、ヤバくないっすか?」
キヨシさん「見えてんのに気付かれたら、寄ってくっからさ。無視無視。
俺もさっき時計んとこに見えてさ~・・・」
と、ここでキヨシさんがうしろを振り返り、つられてRもその方向を見てしまった。
すると、さっきは時計の横に浮いてた白いシルエットが、自分からほんの1メートルくらいの距離に立ってるのが見えた。
Rは全身に鳥肌が立つのを感じた。
R「ちょっ・・・キヨシさぁ~~ん・・・(哀願)」
キヨシさん「あぁ・・・無視無視。。。仕事しようぜ。」
キヨシさんは自分の持ち場に行ってしまったもんで、仕方なくRは自分の作業機で仕事をすることに。
絶対、うしろは見ないように。仕事に集中、集中。俺はなんも見てない見てない。
必死に、仕事に没頭するように努めた。
でも、なんだか背中がゾクゾクする感覚は抑えられない。
絶対、あのシルエットはこっちに近づいてきてるに違いない。
・・・自分の作業着をうしろからツンツン引っ張るやつがいる。
R「・・・キヨシさん?」恐る恐る聞いてみるR。
・・・返事はない。つまり、こいつはキヨシさんじゃない。
アクションを起こしたことがソイツを余計に刺激したのか、さらに強い力で作業着が引っ張られた。
いよいよ耐えられなくなったRは、
「キヨシさぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!!」
キヨシさんのもとへとダッシュで逃げた。。。
キヨシさん「アイツやばいわー。お前のうしろにずーっと付いてるんだもん。これもう、今日は仕事になんねぇわ。」
という訳で、Rとキヨシさんはその日は早退。
後日、Rがまた夜勤に入った際には、そのシルエットの姿はどこにも無かったらしい。
幽霊って、色んなとこにふらふら出入りするもんなのかな。
長々とごめんね。