引用元: ・死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?287
よっぽど霊が出てくる様な話の方が、逆に現実味があるからだ。
これは俺が実際に体験したそんな不思議なお話です。
俺が小学5年生だった頃の朝、いつのも様に、自分の家の近所の2人の同級生達と、
学校に登校する為に登校路を歩いていた。
しばらく話しながら歩いていると、前方を歩いている2人組の女の子が視界に入った。
1人は自分と同じクラスの同級生、もう1人は別のクラスの女の子である。
俺は同じクラスの女の子の方に目が釘付けになった。
「全身、真っ紫」なのである。
「真っ赤」とか「真っ青」とか「真っ黄色」等と言う言葉はあるが、
「真っ紫」と言う言葉はないと思う。
が、どういう状況を見たかと言うと、頭の先の髪の毛から体全体の服、靴までの全身が、
紫色のペンキを頭から被った様に「真っ紫」なのである。
普段からそんな奇抜な格好をしている子等と言う事はなく、普通の女の子である。
普通なら「おい、あれ見ろよ!!」と一緒に歩いてる同級生の2人に話しかけるのであろうが、
なぜか「話してはならない」と言うか、話したくても言い出せない、
口を開こうとしたら言い知れぬ恐怖感が襲ってくる様な、
金縛りの軽い感じの様な不思議な不快感を俺は感じていた。
俺と一緒に歩いている同級生2人も、確実にその紫の女の子は視界に入っている距離だ。
だが何も言わないし指摘もしない。
普通にゲームの話等をして盛り上がっている。
そして、もはや前方の女の子2人を追い越す距離までに近づいた。
何も言わない。
おかしい。
すれ違いざま、女の子の顔を見た。
卒倒しそうになった。
肌の色まで真っ紫だったのだ。
顔の皮膚、腕の皮膚、足の皮膚、全てだ。
思わず悲鳴を上げると、女の子2人が「おはよう」と挨拶をしてきた。
「おー」と同級生2人が返事を返す。
俺だけ引きつった顔をしている。
やはりおかしすぎる。
誰1人として、女の子の全身が紫な事に一切触れないのだ。
「お前何驚いてるんだ?」と怪訝な表情の同級生2人。
ドッキリか?とも思ったが、いくらなんでもこんな手の込んだドッキリをする意味は無い。
その時初めて「自分以外には見えてないのだ」と思った。
他の同級生達も、一切その女の子が紫な事には触れず、普通に話している。
極めつけは出席を取る際や、授業が始まった時だ。
担任の先生すらも一切その事に触れない。
他の人たちには見えていない事を確信した。
その日はもう、俺の頭の中は「???」で一杯だった。
授業中も上の空、給食や休み時間も上の空である。
「あいつ何で紫なんだ?」と同級生に聞けば言いのだが、
先程も書いた様に言い知れない程の「この事に触れてはいけない」と言う様な、
本能的なおぞましさを感じて言い出せなかった。
ましてや当人の女の子に直接聞く様な事は出来なかった。
そして下校直前の掃除時間の事である。
グループごとに分かれて校舎内の様々な場所を掃除するのだが、
自分のグループが割り当てられた場所は、校舎の裏庭の方の少々薄暗い区画だった。
例の紫の女の子も同じグループだった。
俺の目の前には、全身紫のその子が箒でゴミをはわいている後姿が見える。
周囲には俺とその子しかいなかった。
聞くなら今しかない。
「なん」「なんで」「な・・・」
言い知れぬおぞ気が言葉をどもらせ、質問を躊躇させ、口がうまく開かない。
そしてとうとう好奇心が恐怖心を凌駕した。
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