大学の合宿施設の近くに実家のある先輩に誘われて、地元の花火大会を見学していた。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?293
「・・・・・・という話だ。」
Aが、何度目になるかは分からない怪談を終えます。
『次は俺の番か』どの話をしようか考え始めた時、ふと、先ほどの疑問が頭をよぎります。
あの後、10回、いや20回は、怪談を話しています。
合わせれば30回以上は怪談をしていたような気がします。
いや、実際はそんなにしていないかもしれませんが、かなりの回数の怪談を話したのは事実です。
時間で言えば、1時間、いや、2時間はとっくに経過していていいはずです。
なのに未だに山道から出ていないのです。
『道に迷ったのかな?』そうも思いましたが、それにしても時間がかかりすぎです。
ここが何処かはわかりません(カーナビもない時代(一応あるにはあったが、学生の車に搭載できるような代物ではなかった))
周りは真っ暗。いや、真っ暗すぎます。まさに墨を流したような暗闇です。
一気に不安が広がります。
「今のAの話で99話目だ。」
「え?」
今まで黙っていた先輩が突然口を開いたので、驚いて聞き返す私。
「だから、今のAの話で、怪談99話目だったんだよ。」
「へえ、そんなに話したんですか俺ら。」
気軽に受けるB
「案外怪談知っているもんなんですね。」
Aも普通に受け答えしている中、私だけが、混乱し始めていました。
99話、一話3分程として、300分近い時間、つまり5時間は経過しているはずです。
出発したとき1時なのですから、今の時間は、6時近く。
もう、夜が明けていいはずです。
いや、それほどの時間がたっていなかったとしても、
高速のインターにはとっくに着いているはずです。
なのに相変わらず山道らしいところ、というか、何処かすらわからない、
真っ暗闇の中を車は走り続けているのです。
恐怖の感覚が私を襲いました。
「百物語って知っているか?」
恐怖にパニック寸前の私をしり目に先輩は話を続けています。
「ああ、ろうそく百本立てて、一話ごとにろうそく消していくって奴でしたよね。」
とB
「俺たちそれできましたね。ま、車内で100本蝋燭立てられないけど。」
とA
「ああ、で、100本目が消えると、妖怪、幽霊が現れる。」
と先輩
「俺たちも蝋燭消していたら、現れますかね?」
とB
『ちょっとまって、ちょっとまって、ちょっとまって』
先輩の話に、平然と相手をしているA、Bに対して、すでにパニックになりかかっている私。
叫びだしたかったが、恐怖のためか、緊張のためか、声が出ません。
「ああ、出るかもな。でもさ、実は百物語っていうのは、最初は、真っ暗な中、屋外で、怪談百話を話すものだったんだ。」
「へえ、初めて知った。」
とB
「ああ、この辺りでは、少なくともそうだったらしい。
で、100話を話し終わると、妖怪が出るんじゃなくて、
そういう物がいる異界への扉が開いてそこに引き込まれる。
ってものだったんだ。」
先輩が妙に抑揚の、いや、感情のない声で話します。
「へえ、異界への扉って、漫画みたいですね。」
とB
「ああ、で、明治の帝大教授や、昭和の院生も、この地に伝わるその伝説を聞いて・・・」
「ちょっと待ってよみんな!!」
やっと声を放つ私。
「なんだよ、○○ビビったのか?」
とA
「そうじゃないよ、先輩、ここどこですか?
周り真っ暗、街頭ひとつない、何時になったら高速に出るんですか?」
恐怖でほとんど涙声になっていました。
叫んでいるうちに気が付きましたが、この車、一度も止まっていません。
いや、よくよく考えてみると曲がった気配すらないのです。
周りは真っ暗、いや、ヘッドライトすらついて居なのです。
前方も真っ暗な闇です。
『なぜ今頃気が付いているんだ!!』
自分に毒づきましたが、このまま先輩の話し続けさせたら、
危ない、いや、そんな生易しいものですらなくなる。
なんと言うのか、そんな言いようのない、本能的な恐怖に駆られ、
私は、パニックと恐怖で、涙声になりながらもつづけました。
「よく考えろよ。なんでこんな周り真っ暗なんだよ!!
99話怪談話したんろ?いったい何時間たっているんだよ?
なのに、なぜ、何処にもつかないんだよ!!」
「もうすぐ着く。いいから黙ってろ。」
抑揚と感情のない、なんというのか、先輩の声ですが、
先輩でない誰かが話している、そんな感じの声でした。
「その前に車止めてください!!とにかく!!」
ここで黙ったらおしまいだ。
とにかく先輩にこれ以上話をさせてはいけない。
そんな感じで、絶叫に近い声で、先輩に言いました。
「せ、先輩、とにかく車止めましょうよ。」
とB
やっと現状に気が付いたのか、Bも少々あわてた声で先輩に言います。
「話しが終わったら着くから黙って聞けって。」
相変わらず抑揚のない声で話す先輩。
「B、ブレーキ踏め、ブレーキ」
完全にパニック状態の私。
「先輩、話の前に止めて、ドア開けてください。そうしたら、聞いてもいいですから、先輩の話」
Aもすでにパニック状態なのか、大声で叫んでいます。
「この山で、100物語を・・・・」
完全にパニック状態の我々三人をしり目に、先輩が、抑揚と感情のない声で続けます。
「先輩、すみません!!」
そういって、Bが先輩の横っ面を殴りました。
キキキー
急ブレーキの甲高い悲鳴とともに車が止まりました。
シートベルトは着けていましたが、前席に頭をぶつけました。
「ああ、すまんみんな、大丈夫か?」
と、先輩
周りを見ると、遠くですが、民家の明かりが見え、道の先にある街頭も見えます。
何よりも、ヘッドライトの明かりが見えます。
『も、戻れた』
なぜそう思ったかは知りませんが、安堵感と、恐怖から解放された感覚で、
全身の力が抜けていくのを感じました。
先輩は、車から降りて、車の前の方を確認していました。
「すまん、目の前を横切った、白い影が見えたもんで。って、どうしたんだ、お前ら?」
車内3人の尋常ならざる雰囲気に、先輩が、質問します。
少なくとも、先ほどの先輩ではなく、何時もの先輩であることに間違えはないようです。
我々3人も外の空気を吸うため車外に出て、落ち着いた後、今までの経緯を先輩に話します。
お前らが体験した人に言っても信じてもらえない実話ってある?
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