AとBは霊感が全くなく、単に好奇心旺盛なだけだったが、CとDはちょっとした
霊感持ちで、特にDは親の仕事が珍しいことにそっち系らしく、Dは本業の親以上に
潜在的な霊感みたいなものが強かったそうだ。
そんな面子で向かうことになったのは、自殺者がかなり多いことで有名なY橋だった。
山中にある渓谷を跨ぐように架かったその橋は、それほど大きな橋ではないのに
橋の横にある鉄柵が異常にでかく、しかも奇妙な形をしている。
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こんな具合で鉄柵の上部が反り返っているため、左右どちらの鉄柵だろうと
よじ上って鉄柵の外側にいくことは困難を極めるわけだ。
この鉄柵によって自殺しようとする者の行動を抑制しようとしたのだろうが、
それでも自殺者は後を絶たないようだった。
4人が橋に到着したときには辺りはもう真っ暗で、人通りもほとんどなく、
しんと静まりかえっていた。
夜間はたまにパトカーが巡回するから、早めに済まして帰ろうという話を
事前にしていたのだが、AとBのテンションがやたら高くてそれにつられた
Cも興奮しており、4人で橋の下に降りてみようという話になった。
橋の一端から谷底に降りる道があったので、その道を4人で下っていった。
そこにはやや背の高い男性らしき人がいた。普通の通行人のように橋の真ん中辺りを
てくてくと歩いていた。視界の悪さもあってその男の姿はぼんやりとしか見えなかった…
が、Dは言った。
「あいつ、死んでる。」
4人は無言で頷き合って、急いで車に戻って、急いで橋を離れた。
AとBは霊感こそないものの、ただならぬ空気を感じてはいたようだった。
D「とにかくやばい。うちの親父だろうと誰だろうと、絶対にあいつは祓えない。」
A「日本一というか、最強の除霊師でも?」
D「無理だと思う。あいつ、少なくみても30年以上はあそこにいる。昨日か一昨日辺りにも、
絶対に誰か落ちてるから。賭けてもいい。」
霊感のないAもBも男の姿を視認していたので、蒼ざめるばかりだった。
その後、肝試しに行ってから1ヶ月もしないうちに、Cが精神病院に入ってしまった。
3人はCに会おうとしたが、Cの家族から強く拒絶されてしまった。
あの時、谷底に降りるあの道を、Cは先頭に立って下っていた。
本当にやばかったのは橋の上ではなく、谷底のほうだったのだ。
俺自身も実際に橋に行ってみたんだが、なんだか怖かった。
昼間だったのに・・・
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