2ヶ月ほど前、友人数名と旅行に行く事になった。
日頃の自分達へのご褒美という事でのんびり温泉でも入れるところをとネットで色々探したところ山あいにある雰囲気のいい温泉宿があり、友人も乗り気だったのでそこに予約を入れた。
そして旅行日当日。
宿に着くまで観光地を周り久しぶりの骨休めを満喫。友人達とバカをしながら写真を撮ったりし、大いに盛り上がった。
時刻が14時過ぎくらいになり、早めにチェックインをしてまったりしようという流れに…
先ほどまで人で溢れ賑やかだった地から、気持ち寂しげな山あいへと車を走らせる。
1時間ほど走ったところで「おいでませ」の看板と共に雰囲気のある温泉街が目の前にあらわれた。
ゆるゆると流れる川を挟むように、温泉宿が軒を連ねてる。
自分達が予約している宿を探しながらのろのろと車を進めていると、「いかにも」といった雰囲気を醸し出す年季の入った宿を発見。
写真よりかなり古めな感じだが、自分達の予約を取った温泉宿だった。
期待を裏切らずロビーも古めかしい…お土産用の売店だろうか?ショーケースの中はガラガラで適当に数個土産物を置いてある。
受付に立っていたのは旅館の女将で痩せ細っていてお世辞にも綺麗とはいえない…が、人当たりはよく部屋まで案内してくれた。
部屋へ通されると意外にも広くて綺麗。窓の外には中央に流れる川が眼前に見下ろせ眺めも最高。
俺達はさっきまでのだだ下がりだったテンションは何処吹く風で、初めての修学旅行に来た中学生のようにはしゃぐ。
その光景を見ていた女将は軽く笑いながら食事の時間を知らせ「ごゆっくり」と丁寧に頭を下げ部屋から出ていった。
部屋を改めて見回しているとある物に目が留まった。
古い掛け軸だ。
と友人と冷やかしながらめくってみると…壁にお札が…貼られてはなかった。
その一連の流れにまた笑いながら、とりあえず最上階にある温泉に入りにいった。
温泉も最高に気持ちよく、浴衣姿となった俺達は部屋に戻ると自販機で買った冷たいビールで乾杯した。
……?。掛け軸が少しずれているような気がしたが、さっきあたった事でずれてしまったんだろうと気にするのをやめた。
部屋に運ばれた夕食は失礼ながら宿に似合わず豪華で思わず写真を撮ってしまうほどだった。
しこたま食べ、しこたま飲んだ俺達は敷いてもらった布団にころがった。
一息ついた俺はふらふらと立ち上がり窓から外を眺めた。
そこには川の両岸に赤提灯がずらりと並び、怪しくまわりを照らす光景に酔いがまわったのか非現実的なもののように見えた。
友人を誘おうとするが二人とも一眠りしたいとのこと。仕方なく一人で下駄をからころ言わせ外へと出た。
川に沿って立ち並ぶ赤提灯の光景は間近で見ると尚幻想的で吸い込まれそうな気分になる。
橋の袂から川縁へ降りる階段がありきれいに整備された川縁をからころとゆったり歩く。
から………からん。
から………からん。
…俺の歩幅と合わせるように下駄の音が重なって聞こえる。
振り返ってみるが誰もいない。寂れた温泉街、周りを見渡しても歩いているのは俺一人。
音が反響してるのかな?と思いながらまた歩き始める。
から…からん。
また聞こえる。さっきより近づいてるような気がした。
振り返ってみるが…やはり誰もいない。少し気になりながらもまた歩き始める。
か…からん。
か…からん。
…寒くはないのに全身が粟立つ…すぐ…後ろにいる。。。
後ろを振り向けずにいると誰かが肩に手をかけた。
「だーれだ?」
ふざけながら言う聞き覚えのある声。友人のAだ。
「お前…ふざけんなよ…!」と半泣きを隠しながら手を振りほどこうとするが、笑いながら強引に肩を揉み出すA。
拍子抜けした俺は後ろに立つAに肩を揉まれながらまた歩きだした。
たわいもない話をしながら歩いてるとAが急にかくれんぼをしようと言いだした。
こんな一本道で隠れるとこねーよと思いつつ、「宿に戻るまでに見つけたらビール奢りな」とAに言って20秒数える事にした。
ペタペタ…と走り去る音が聞こえる。
裸足かよあいつ…と思いながら20秒を数え終え後ろを振り返る。
あれ?マジでいねーし…足はえーなあいつ、と笑いながらからころ言わせ宿へと小走りで戻っていった。
結局、宿に着くまで見つける事はできなかった。
部屋へと戻るとAとBはテレビを見ながらまた飲んでた。ほれ、と自販機で買ったビールをAに渡す。
おうサンキューと言いながら受け取るA。「俺には?」とBが聞いてきたが華麗にスルー。
「足はえーなお前」とAに言いながらAの足を見る…が全然汚れてない。
洗ってきたのか?と思いつつ、ビールを飲み出した。
いつのまにか眠ってしまってたみたいだ。テレビはつけたままでテレビショッピングが流れている。
トイレに行きすっきりした俺はテレビを消し窓際へ腰をかけて外を見る。
まだ赤提灯は照らされたまま。?…時間は分からないがこんな夜中に誰か浴衣姿で川縁を歩いてる。
目をこらして見ていると、不意にこちらへ振り返った…Aだ。
ここで寝てるはずなのになぜ?と部屋の方へ視線を向けると同時に耳の奥がキーンとし、ぐぐぐ…と重圧をかけられるように体が動かなくなった。
視線の先には掛け軸の方から腹を出して寝てるAに近づく「もや」みたいな空気の塊の何か。なぜか女というのだけは雰囲気で分かった。
声を出してAを起こそうとするが「…ぁ…っぁ…」という感じで声がだせない。
そいつはAの体の上に立つと軽く頭を屈めAを覗き込む。
急に苦しそうな表情になり身をよじり出すA。
体が動かず「びっくりするくらいユートピア!」が出来ない俺。
ぶ!!
Bの盛大な寝屁。
と同時に金縛りは解け、Aの上に乗っていた何かもいなくなっていた。
目を覚ましたAは不意にトイレへと駆け込んだ。
トイレから出てきたAは清々しい顔をしていた。夢の中で小便を無理矢理がまんさせられていたらしい。
清々しい顔のAを見ているとさっきまでの事は何も言えなかった。
朝、夜中の出来事が嘘のように爽快な目覚め。
朝食を食べ終え、用意を早々と終えた俺はふと掛け軸を見つめた。そして何かに誘導されるように掛け軸をめくる。
よく見ると…壁には何かを貼っていたように色の褪せ方が違うところがあった。ちょうど七夕で使う短冊くらいの大きさの。
掛け軸本体の裏側に色褪せたお札がびっしりと貼られていた…。その中の一枚が半分ほど破けている。
そんな俺を見ていたAが「すげーよなそれw」と話出した。昨日俺が部屋から出たあと目が覚めて窓際に腰をかけてたら掛け軸が気になってめくってみた時にお札に気づいたらしい。
そのときふざけ半分でお札を一枚剥いでみようとしたら上手く剥げなかったとのこと…こいつはバチがあたっても仕方ないと思った。
まさかと思って聞いてみると、昨日川縁にも来ていないという…
次の日の旅行も年甲斐もなくはしゃいだ。
そして片付け忘れてた旅行に持っていってたカバンからさっき出て来たんだ…
…半分だけのお札が…。
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