高2の春から私は同じ学校の体育教師と内緒でつき合っていました。
(以下、文中では彼と称します)
彼は全校生徒からは絶大な人気がありましたが、年配の教師達からはよく思われていない
先生でした。
当時、柔道部と剣道部がとても強く、私が入学する2年前に立派な武道館を立て地元でも
ニュースになったくらいの学校で、彼は剣道部の顧問をしていました。
武道館の横にプレハブで出来た宿直室があり、彼は独身だったのでよく宿直をしていて
彼と付き合い始めの頃の週末土曜日になると親に「友達の家へ泊まりに行く」と嘘をついて
私はこっそりと学校へ行ってました。
行きました。
その日は彼の友人カップルも来てて、4人でワイワイしながらホットプレートで焼き肉を食べ、
友達カップルから彼は「生徒とそーいう仲になっていいのかよ~」と冷やかされ
私は私で3人の大人達によってたかって(高2の小娘から見たら当時28歳だった彼らは
十分大人に見えたw)
「若いよね~、可愛いよね~」などと言われ、いい気になりこの故無く楽しい気分に浸っていたのを
昨日のことのように今でも思い出します。
食べ終わり皆それぞれにくつろいでいた時、お決まりのように恐い話になりました。
どこの学校にも「学校の七不思議」系の話ってありますよね。うちの学校にもそういう話が
たくさんあり彼は保健体育の授業中によく恐い話をしてくれてました。
私は彼に「先生、恐い話してよ~」と言うと
彼が「よし、まだ誰にも話してない話をしてやろう」と怪談が始まりました。
交通事故で亡くなったそうです。
それから間もなくして
体育の事業中、ふと武道館を見ると窓から亡くなった男子生徒がみんなを見ていたとか、
夕方、剣道部と柔道部が練習を終え武道館から出るとき最後にドアを閉める人が
柔道場から「ドス、ドス」と音がするのが聞こえ、中に行ってみると
半透明の無くなった生徒が柔道の練習をしていたなど・・・・・
武道館で亡くなった男子生徒の幽霊を目撃したという複数の話が学校中に広まったそうです。
彼は暑い時期、宿直をするときはまだ新しい武道館の板張りの剣道場のど真ん中に布団を
敷いて寝るのが好きだったそうでその日の宿直も剣道場で眠りにつきまました。
「ドス、ドス」という音で目が覚めると、急に金縛りにあい身体が動かなくなったそうです。
音はだんだんと彼に近づいてきました。
亡くなった生徒が自分に近づいてくると感じたそうです。
彼はとても疲れていて近づいてくる音と気配に向かい心の中で
(○○←(亡くなった生徒の名前)ゴメン。オレは今日はとても疲れている。オマエの練習の邪魔は
しないから今日はこのままここで寝かせてくれ)と念じたそうです。
すると「ドス、ドス」という音と気配が次第に自分から遠ざかって行き、気がついたら朝だった。
という話を彼がしてくれました。
友達カップルの彼女が「怖くないの?」と聞くと
彼は「もう慣れた。練習の邪魔をしなければ何も起こらないから大丈夫」と言いました。
ここからが後悔したことなのですが、
よせばいいのに私は「じゃぁ、今夜みんなで武道館に寝たら幽霊が見れるの?」と聞くと
彼は「音や気配が聞こえても騒がずに寝たフリをしてれば問題ないだろう」と言い、
夜12時を回った頃、剣道場全体の電気は付けられないので
デスクライト1つと厚手の大きな毛布を2枚持って4人で武道館に行き、
毛布を敷いて雑魚寝で寝転がりました。
剣道場全体がほのかに見渡せるくらい目が慣れてきました。
剣道場の入り口から柔道場が少し見えました。
私は怖くなって彼にしがみつきそのままウトウトしてしまい
私の隣に寝転がっていたカップルの彼女の震えの振動で目が覚めました。
「ドス、ドス」と、柔道場から音が聞こえてきました。 私は怖くて目をつぶりました。
私の隣で震えていた彼女は私の腕を毛布の中で掴みさらにブルブルしていました。
私は目をつぶって毛布の中で彼を指でつつきました。でも彼は反応しません。
音が剣道場に入ってくると人の気配を感じました。私は目をつぶりながら彼女と抱き合って
ブルブルと震えました。
私はなぜか亡くなった男子生徒が私たちの事を怒っていると感じ、心の中で
(ごめんなさい。ごめんなさい。許してください)と何度も祈りました。
足音は私たち4人が横たわっている回りをゆっくりと何度も回っています。
どのくらい経ったのでしょうか?多分、1分も経っていなかったと思います。
その時、私は気づいてしまいました。
私たちの回りをゆっくりと歩いているのは1人ではなく複数であることを。
その瞬間、カップルの彼氏が「うわぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~」と大声を上げ
起き上がりバタバタと外へ出て行ってしまいました。
とにかく私は彼の言いつけのとおり、声を出さずに寝たフリをしました。
彼女も同じだったと思います。
しかし、足音は一向に消えずさっきよりも確実に足音が増えているのがわかりました。
耳を澄ますと「は、は、はぁ・・・」と息づかいが私の顔に近づいてくるのがわかりました。
恐怖心がMAXになった時、震えながら抱き合っていた彼女が
「あがっ、あがっ、うぎゃぁぁぁぁ・・・・・」と
変な叫び声をあげました。 私は彼女の声で驚き目を開けてしまいました。
すると彼女の上に黒い男が乗っかっていて、その男が彼女の上から乗り上げるようにして
私に顔を近づけていたのです。
ライトの光で横たわっている私たち3人を大勢が丸く囲っている様子が一部見えました。
「ワハハハハハ」
大きな笑い声が聞こえたところで私の意識はなくなりました。
彼に起こされたのは朝7時前でした。
カップルの彼氏が校庭の真ん中で倒れていて意識が無いから救急車を呼んでいる。
2人は今すぐに学校を離れろと彼氏に言われ、私と彼女は学校を後にしました。
早朝の中途半端な時間に家に帰ることもできず私は彼女のアパートにお邪魔させてもらいました。
彼女は昨夜、自分の上に誰かが乗ってぎゅうぎゅう上から押されたと話してくれました。
彼からの連絡も無く、私は昼過ぎに家に戻りました。
それから全く彼から音沙汰がなく、でも私から電話をかけるわけにもいかずモンモンとした
日々を過ごしていました。
夏休みが終わる前の日、カップルの彼女から電話があり駅の近くのファミレスを指定され
約束の時間に行ったら彼が座っていました。
私は彼にどうして連絡をしてくれなかったのかなどをつめより泣きました。
自分が宿直の夜に友人が訪ねてきて2人で肝試し感覚で武道館に入ったと校長に話を
したそうですが信用してもらえず、2人で麻薬でもやっていたのではないか?と疑われ警察が
入ってきたりでいろいろと大変だったそうです。
そして、今回のことで学校を辞めざるを得なくなった事を聞きました。
「じゃぁ、もう会えないの?」と聞くと
「これでもう教師と生徒じゃないからな。正々堂々と会えるわな。へへへ・・・」と彼が言いました。
不謹慎ですが、私は覚えたてのHの良さや車を持ってる大人の男性との付き合いに酔っていた
ことろがあり彼とこれからも会えることに安心し喜びを感じていました。
「あの時オレ死ぬかと思ったよ」
「どうしたの?何があったの?」
「目が覚めたら何人もの白装束姿の奴らが俺たちの回りを立って囲んでたんだよ」
「私も少しみえたよ、それ。あと、Jさん(彼女)の上に乗ってた黒い男」
「T(カップルの彼氏)はその黒い男に殺されなかったけど魂を持ってかれちまったんだな。
アイツには悪りぃことしちゃったよな」
「それって死神ってこと?」
「オマエ見えなかったのか?でかい銀色のカマ持ってたの」
その後も彼とはいろいろな霊体験をしました。
数年後、地元のラブホでの霊体験は当時の地元新聞を賑わせ今でも語り継がれている
武勇伝があるのですが
それは又別の機会に。
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