怖い話には程遠いかも知れないが、人によっては奇妙な話です。
怖い話には程遠いかも知れないが、人によっては奇妙な話です。
自分にとっては何が起こったんだろうかと言う気味悪い話です。
五歳か七歳の七五三の日。
家から歩いて数分のところに美容院があった。七五三祝いに身奇麗に
整えて貰うため、その日は朝から美容院に行っていたのだが、朝から
土砂降り続きで、近場とは言え、美容院へは母親が運転する車で移動。
その後、父親も自分の車で美容院に合流。そのままどこかの神社に
行くことになっていた。けれど、母親が何かを忘れたと言い、自宅へ
忘れ物を取りに向かったのだが、ドカーンと言う大きな音がしてきた。
その凄い音は、停車していた父親の車に母親の車が突っ込んだ音で、
美容院は一時騒然。全身切り傷だらけだが意識もあり、立って歩ける
母親が美容院に来たのが、自分にとって衝撃的だった。
その後、母親は救急車で搬送され、父親は付き添いで行ってしまったが、
自分は伯母に連れられ、傘をさして歩いて自宅へ帰った。
事故当時は土砂降りで、美容院の駐車場に停車していた父親の車が
よく見えなかったことと、神社の予約時間に焦ったせいだと言う。
数十年後、今はその美容院も無くなり、そういえば近所に○○美容院
って言うのがあったねと、母親と何気なく思い出話となった。
自分「そういえば、事故。あれには驚いたよ~」
母親「事故って?」
自分「お母さん、お父さんの車にぶつかって事故起こしたじゃん」
母親「何のこと?」
続く
父親にも、伯母にも、当時美容院を経営していた小母さんにも聞いたが
誰も彼も事故なんて無かったと言う。
当時、土砂降りだったことや、美容院の立地、駐車場の位置、周囲に
聞くとどれもこれもその通り。
意識のあった母親が全身切り傷だらけで、美容院の玄関に呆然と座り込み
体を横たえていく一連の記憶と父親の怒鳴り声、救急車を呼んでいる
美容院の小母さんの声とか、騒然としている周囲とか。
だが、過去一度も事故を母親は起こしていないと言った。ならば、自分の
あの記憶はいったい何なんだろうか。
子供がよく何かの記憶と混合したり、夢で見たことを間違えてりと
それと同じようなものなのかな、と自分でも思ったが、それにしては
あまりに記憶が詳細過ぎて気味悪い。