お別れなのかそれとも…
お別れなのかそれとも…
私が小3の時に父が死んだ。
父が入院していた病院から朝方電話がかかってきた。
母は父の病院に泊りがけで家にいなかった。
車の運転ができない祖母が、私と弟をタクシーに乗せて病院に連れて行った。
当初、私と弟は父は風邪をこじらせただけだと説明されていたから、
病院から電話が来たその時までだいぶ楽観視していて、心の準備なんてできてなかった。
末期のがんだったなんて知らなかったし、電話が来たときにはもう死んでいたなんて知らなかった。
(祖母からは父の心臓が弱っているから病院に行くと説明されていて、病院に行って冷たくなった父に触って初めて分かった。)
父の死が受け入れられなくて取り乱したり、冷たくなって帰ってきた父を見ていられなくて別の部屋に行くのに、
しばらくするときっとコレは夢だからお父さんは寝てるだけなんだと父に触って確認してはその冷たさにまた別の部屋に逃げてというのを繰り返したりしてた。
そんな状況だったから、その時はきっと話せなかったんだろうな。
(続き)
父が死んで半年くらいしたときに祖母が父の思い出話を語ってくれた。
ギターやバイクが好きだったこと、カラオケがうまかったこと、小さいころ飼っていた犬に逃げられて泣きながら張り紙を張って探したこと。
そんな話をした後にぽろっと祖母がこぼした。
「父が死んだあの日の朝方変な夢を見た」と。
祖母が言うには、夢に父が出てきたそうだ。
父が祖母に手を差し出し、「一緒に行こう」と誘ったらしい。
普段から父と仲のいい祖母だったが、なぜかその時は、どうにも嫌で、「嫌だ、私は行かない。行くならお前だけで行け。」(方言でわかりにくかったので、なおしてます)といって、父の手を振り払った。
父は悲しそうな顔をして、そのまま行ってしまったという。
祖母は「あの夢を見た時間が大体朝の5時くらいだった。医者が言うにはその時間に父が死んだんだろうってことだから、きっと最後のあいさつに来てくれたんだろうなぁ」なんて言ってニコニコしていたけど、私は笑えなかった。
父が祖母も連れて行こうとしたようにしか思えなかった。
もし、祖母が夢の中で父の手を取っていたらいったいどうなっていたのだろう。
(続き)
後、父が死んでから半年の間に、祖母と仲の良かった親戚や近所の方がパタパタと亡くなられた(確か4人くらい?)
祖母と仲の良かったっていうことはまあそれなりに御歳も召していたっていうことだから、そこまで不自然ではないんだけど、
まるで父が祖母があっちに逝ってもさみしくないように準備をしているかのように思えた。
親戚の死亡ラッシュは、祖母の親友ともいえる方が心臓の血管が切れ倒れたことを最後に落ち着いた。
その親友の方は無事生還されたが、医者の話ではあと1分でも救急車の到着が遅かったら間違いなく死んでいたとのこと。
あの人も連れていかれていたら、きっと次は祖母の番だったのかもしれない。
とりあえず書きためたのがなくなったのでここまで。