大学生二年生の時だったかな。夜中、ざわざわ話し声が聞こえて、目をさましたら、黒い透き通った、人の影みたいのが、二つゆらゆらと揺れていたの。
なんだこりゃ、と思って起き上がろうとしたが、金縛りっていうの?
全然起き上がれない。
「これの××(聞き取れず)をにえに。」
「それなら×××だ。」
「タツミの×××。」
影は意味不明の事を話していた。
影は近づいて俺の腹に触れるだが、その瞬 間、猛烈な激痛が腹を襲った。
手で内臓をかき混ぜられる様な鋭い味わった
事が無い痛み。大声が出そうなほど痛いけれど、なぜか声が出ない。
その時の俺は非常に冷静で、ああ、ここで俺は死ぬのだとか考えてた。
すると突然影が激しく揺れたかと思うと、
「まずい、八幡さんの×××が。」
「もういかないと×××だ。」
とか言って、消えた。
いつの間にか、部屋には、5、6歳の男の子がいた。
男の子は近づいて来て俺の 腹をさすってくれたんだが、その途端に激痛がすーと和らいだのね。男の子は、
「もう大丈夫。しばらくほっとくと治るよ。」
と言った。
俺は、座敷わらし様が助けてくれたと思った。俺の実家(青森の十和田) には座敷わらし伝説が残ってんの。
翌日、まだ少し痛かったから、病院言ったら、肝臓と腎臓が原因不明の炎症を 起こしていると言われた。
けれども、座敷わらしの言うとおり、一週間で治った。
で、俺はどこかであの座敷わらしを見た事がある気がしたんだよね。
なんだろう、 って頭にひっかってたんだが、何ヵ月後かにふと家族の古いアルバムを見て解っ 思い出した。
実は俺には、六歳の時に亡くなった、四つ上の敏郎って兄貴がいたのね。
座敷 わらしはその俊郎兄ちゃんそっくり。
俺は二歳だからまったく記憶に無し。
アルバムでしか見たこと無かったから、顔も忘れてた。
ああ、敏郎兄ちゃんが助けてくれたんだなあ、と俺は凄く納得した。
お盆に、墓参りしたら、墓に黄色いモンシロチョウが飛んでた。
俺の田舎には モンシロチョウは白いけど、稀に黄色いモンシロチョウがいて、黄色いのは人 の魂が宿ってるって言い伝えがある。
なぜか俺はそれが敏郎兄ちゃんだとすぐに解った。
モンシロチョウは帰り道に、家まで俺について来てくれた。
「敏郎兄ちゃんありがとう。」
と言うと、モンシロチョウは墓の方角に帰って行った。
モンシロチョウは偶然だったのかも知れないが、俺は今でもあれは敏郎兄ちゃん だったと信じている。
モンシロチョウぐらいいるだろ
>>622
モンキチョウじゃないんだよ。本当に黄色いモンシロチョウ。
どうも生物学的には、モンシロチョウは一年で死亡するんだけど、稀に越冬
する奴がいて、それは黄色くなるらしい。