小学生の頃の体験
田舎で過ごす夏休みのある日、TVを見ながら寝っころがってた
うつらうつらしてると首の辺りがチクチクとムズ痒い
なんとなく手をやったらナニカに手が当たった
瞬間
チクチクの感触が凄い速さで顔に向かって移動していった
眠気もすっとび飛び起きてそのナニカを手で払い落とそうとした
でも素早い動きのナニカは既に耳の穴辺りに達していた
そしてそのナニカはそのまま耳の穴の中に潜り込んできた
思わず「ひぃ」と声が出た
反射的に耳に手を突っ込もうとした瞬間
「動くなっ」
と異変に気付いた親父がオレの手を掴んで止めた
ガリガリガリガリガリガリガリガリ…
耳の中でソレが動く感触とたてる足音が大音響で脳に響く
ソレに鼓膜を食い破られると思ったオレは半狂乱になった 大声で泣き喚きバタバタ暴れるオレを押さえつけて親父が 「じっとしてろっ」とかがみこんで耳元に息を吹きかけた
こんな時になんのマジナイだよっとか思ったけど 吹きかけたとたん、奥へ奥へと進んでいた感触が反対にゆっくりと向きを変えた
バリ、バリ、バリ、バリ、バリ…
短くない時間をかけてその感触が耳の穴を出て行った瞬間
バッと親父の手が払われ畳の上にポトッと音を立ててナニカが落ちた
体長10cmくらいのムカデだった
吹きかけてくれたのは吸っていた煙草の煙だった
子供心に親父の機転に感心した
鼓膜を直にひっかくムカデの多足の感触とか足音とか…
以来ムカデがオレのトラウマ