奇妙な話

【奇妙な話】亡くなった祖母はいつまでも見守っている

2016-05-06_174038

スイマセン長文です

私には大好きな祖母がいました。
幼い頃から私はダメ人間で、いつも祖母に心配ばかりかけていました。

「お前がしゃんとせな、ばあちゃん死んでも死にきれん」
祖母の口癖でした。

 

そんな祖母も私が働きだして何年か後に亡くなりました。

 

その後私は付き合っていた人に振られ、職も失い、軽い鬱状態になっていました。

どうしようもなく酷く落ち込んだ時、神様仏様じゃありませんが

「ばあちゃん、どうしたらいい?」

泣きながら亡くなった祖母に問いかける事もありました。

 

577: 本当にあった怖い名無し 2009/07/19(日) 07:12:17 ID:qf8+ERag0

ある晩私は物音で目を覚ました。

コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

音は下階から、猫かなにかが走り回っているようでした。
私の住んでいるのは木造の安アパート、周りの音は筒抜けです。
「どうせ下の人がこっそり猫でも飼っているんだろう」
そう思い再び目を閉じました。

コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

いつまで経っても足音は止みません。

 
それどころか音は段々と大きくなり、とうとう寝ている私の頭上を

右から左に走り回っているのではと思える程に。

私は只ならぬ気配を感じ、恐る恐る目を開けました。

目を開けると同時に音は止まりました。

部屋の中は街灯のせいで薄暗いながらも良く見えます。

私は目だけを動かし、先程まで音がしていた方を見ましたが何もありません。

そしてぐるりと部屋を見渡し、足元を見た途端ギョっとしました。

 

578: 本当にあった怖い名無し 2009/07/19(日) 07:14:08 ID:qf8+ERag0

誰かが布団の袖に座っていました。
若い女性、おかっぱの黒髪、 子供が着るような丈の短い、白地に赤い井裄絣模様の浴衣を着ていました。

俯き垂れ下がった横髪で顔は見えません。

こちらを見るでもなく、何か喋るでもなく、ただ正座したままじっとしています。

 

私は怖くなって頭から布団を被りました。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

何度も何度も謝りました。

 

何に対して謝罪しているのかさえ分からずに。

するとどこからとも無く

コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

またあの音がまた聞こえてきました。

コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

いつまでもいつまでも音は止みませんでした。

 

579: 本当にあった怖い名無し 2009/07/19(日) 07:16:41 ID:qf8+ERag0

 

それがどれ位続いたかは分かりません。

長かった様に思えましたが、実際は短かったかもしれません。

目を覚ました時には朝になっていました。

昨晩の事ははっきりと覚えていたのですが、 「夢だった」の結論で自分を納得させました。

それから暫くしてなんとか職に就き、 久しく行っていなかった祖父母の墓参りに出かけました。

ついでと言ってはなんですが、近くに住む叔父の家も訪ねました。

叔父は長男だった為、祖父母の仏壇があったからです。
仏壇に手を合わせた後、ふと床の間にあるガラスケースに目をやりました。

 

ケースの中身は福岡の伝統工芸博多人形でした。

 

微笑みながら片足を上げ手毬を打つ少女。

 

どこにでも在りそうな人形でしたが、私が驚いたのはその装い。

おかっぱの黒髪、白地に赤い井裄絣模様の浴衣姿でした。
夢に出てきた女性と全く同じ・・・

 

580: 本当にあった怖い名無し 2009/07/19(日) 07:18:20 ID:qf8+ERag0

世間話の後、叔父に人形の事を聞いてみました。

 

「あれはばあさんの家取り壊した時に納戸から出てきたったい」

 

叔父の話によれば、 その昔、祖父が近所に住んでいた有名な陶師から貰ったとの事。

 

当時買えば結構な値段がしたらしく、祖父母は大事にしていたようでした。

「人形は気味が悪いけん、捨てるに捨てれんめーが」

叔父は笑って言いました。

私は覚えていませんが、幼い頃に見た記憶が夢に出てきたのかもしれません。

でも私は「祖母が叱りに来てくれた」そう思いました。

帰り際、もう一度仏壇に手を合わせました。

「ばあちゃん、心配かけてごめんね」

失礼しました

 

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