霊感その他諸々と全く無縁な俺が唯一体験した
片田舎に暮らしてた高校生の頃の個人的に洒落にならなかった話を
塾帰りにツレとゲーセンよって一頻り遊んでから帰宅する途中の時のこと
ツレと分かれてから一人でチャリに乗って自宅に向かってた
その時に走ってた道は、いつも自分が塾帰りに使ってる道で国鉄がJRに民営化
された時に
不採算路線として廃線になった線路を舗装して改装した道路だった
幹線道路からは離れてたけれども、道路沿いには普通に民家が立ち並び、街灯と街路樹が
整備された何の変哲も無い普通の道路で、幹線道路を使うのに比べて信号が少なく無駄に
曲がりくねったりしてなくて近道だったので、当時はよくその道を通ってた
で、その道を帰る途中、ある信号交差点に近づいたところで赤信号になった
その信号交差点は昔国鉄の駅があった場所にあり、周りの見通しが良かった
22時ともなると車も人もほとんど通らないような場所だったから
いつもは、車が来てなければ信号無視って通過してたんだが、
その日は、信号交差点の反対側に信号を待ってる人が遠目から見えたんで止まったんだ
交差点待ちしている人が居るのに信号無視するのにちょっと抵抗があったんだな
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信号交差点で止まって、道路を挟んで信号待ってる人を良く見てみると
スーツを来たサラリーマン風の普通のおっさんだった
(交差点の4すみに街灯があって明るかったので表情まで良く見えるほどだった)
その時俺は「信号待ちメンドクセ」とか心の中で悪態ついてたんが
道路向かいのオッサンに視線を移してみたらなんか空を見上げてる
気になったんで俺もその視線の先を見てみたんだが
別にキレイな星空に月が見えるだけで他には何も見えなかった
「変なのモンで見えるのかと思ったらなんもないやん」とか思って視線を戻したら、
今度はオッサンが空を見上げた姿勢のまま、こちらまで聞こえるくらいの声で突然喋りだした
突然喋りだしたものだから、当然、俺はビクッとなって「酔っ払いか?ビビらせんなよ」
とか思ってたんだが、よくよくオッサンの喋ってる言葉を聞いてみたら日本語じゃない
意味不明な音の羅列を喋ってるような感じで、言語っていうより読経とかに近い感じがした
ただ、少なくとも般若心経ではなかった
(祖母が毎朝仏前に、般若心経を読経してたから俺も覚えてた)
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このあたりから俺はだんだん怖くなってきてたが、何故かそのオッサンから
目が離せなくなっていた
そうこうしてるうちにオッサンは、なんだか声の調子がヒートアップ
一方俺の方は、真冬なのに体のあちこちに冷や汗が出てきていたのに目が離せない
オッサンはますますヒートアップしていき、最高潮に達した時に空を見上げた姿勢のまま
ピタリと止まったかと思ったら、今まで虚ろだった目がグルンと白目になった
次の瞬間、突然オッサンの頭だけがブレた
一瞬見間違いかと思って瞬きをしたが、やはりオッサンの頭だけがブレていた
なんだコレはと思って目を凝らしてみたら、オッサンの頭だけが残像が残るほどに高速で動いてた
(「テンション上がってきた」っていうネタ画像があるがアレに近い感じ)
そのテンション上がってきた状態でオッサンは読経もどきを再開
俺は、体中の毛穴が開いた感覚がして、くぁwせdrftgyふじこlp状態になって
弾かれた様に回れ右をして、チャリで猛スピードで元来た道を逃げた
逃げている最中に追ってきてる気配とかは感じなかったが、とにかく人の気配が欲しくて
道路沿いのコンビニに飛び込んだ
その後、体の震えが止まるまでコンビニで立ち読みして過ごして、
オッサンに出くわさないように祈りながら、遠回りの幹線道路を通って帰った
<3/3>
その後、特に何か不幸な目にあったとかそういうことはないが
今思い出してもアレがなんだったかが良くわからない
その時のことがトラウマになってて、夜には、例え車に乗ってても
オッサンに出くわした交差点には近づかないようにしてる