中学の修学旅行の話
鈴鹿サーキットに隣接しているボロホテル
8人部屋がズラリと並んだ古いが大きいホテルだった
メシも終わり、各自部屋に帰って談笑してた頃、
窓が閉まっているのにカーテンがユラユラ左右に不自然に揺れている
A『なんや?』
A『窓が開いてるだけやろ?』
B『閉まってるぞ』
C『風の揺れ方やないやろ・・・』
オレ『笑い声が聞こえるぞ!』
二段ベッドの向こう側でゲラゲラ2人の笑い声がした
隣の部屋のDとEが糸を使ってイタズラしていたのだ
ALL『ふざけんなやービビッたやんかwww』
中坊にありがちなコトである
A『にしても、このホテルボロイなあ… 出るんちゃうん?』
D『おう、出ると思うぞ、お前ら待ってたら外に誰か立ってたし』
イタズラ好きのDである。ふざけた奴だ…
つづく
オレ『おいおい、ココは2階やぞ?あるわけないやん』
普通にツッコミ・・・
E『いや、マジでおったって!』
典型的な作り話だろう、皆が思う。
Aが窓を開けた
ガラガラ
鈴虫の音色が響き渡って夏の匂いがするだけだ
A『だれもおらんぞー』
D『おったって!』
A『うるさいわ、Aは部屋帰れや!』
D『なんやお前、喧嘩うっとんのか?』
A『あーん?俺らの部屋に勝手に入るなや!』
ココで喧嘩になるのも中坊らしいw
騒ぎを聞きつけて野次馬がわらわら集まってきた
『お?喧嘩か?ヤレヤレ!』
勝手なモノであるw 既にAとDは掴み合い罵り合っている
すると、野次馬の中の一人の女が…
女『ちょっと待って!!!!人がおる!』
オレ『む?センセー来たか?』
女『違う!外!』
女の指差す方向は、部屋の奥の窓の外だ
全員が振り返るがソコには暗闇が広がるだけで
今度は本当に風でカーテンが揺らめいてるだけである
A『なんなや、邪魔スンナ!お前(女)もソノ話か?』
女『ねぇ、女の子が見えん?』
D『見える。おるわやっぱり!!!』
女『なんか… 入ってこようとしてない?』
B『なんもおらんやん!Aもえーかげんにせーや』
C『おい、閉めてくれ』
こんな時って誰も閉めに行かないのだw
勇敢なAが閉めるために窓に近寄る
女『ねぇ、入ってこようとしてるって!A君やめて』
キレ気味のAは無視して閉めた。
A『ココは2階で窓の外にも誰が立てるんや?ふざけんなみんな帰れって!』
女『窓に両手着いてるの見えん???』
B『見えん!』
イタズラにも限度がある。オレらの部屋の奴らは皆あきれ気味だった。
女は引きつりながら続ける
女『ねぇ、窓叩きながらなんか怒ってる!』
女『ヤメテ!って言ってるやん!!』
まったく話が見えてこない…野次馬も増える一方だ
C『何をやめろって?』
女『わからん、でもかなり怒ってるやん!ほら!』
すると、野次馬の中にいた女子がいきなり泣き出した…
クラスでも全く目立たない影の薄い子がだ
女子『え~ん、、、ごめんなさい!ごめんなさい!!うえーん』
更に意味が解からず皆ぽかーんとしている
窓には20人くらいの学生が反射して映っているだけである
女が駆け寄る『どーしたの?』
女子『ごめん、私は見えんかったけど…』ひっく
『怖かったから…』えぐ
『お姉ちゃんに習ったお経を…』
『心の中で…』
『唱えてた… ごめんなさい』
全員が固まった!
女の話と女子の話が繋がってるのだ…
女が振り向く『あれ?おらんで、女の子おらんなった』
D『ほんまや、もうおらんぞ』
そんなこんなで場は解散
残されたオレらが眠れるはずがない…
消灯後、一番遠くのベッドに8人が固まって談義は朝まで続いた
朝になって外を調べると、やはり誰も立てるわけがない2階で絶壁だ
窓の外側には…
小さな手の指紋が!!!
なかったwが、今でも同級生に合うとコノ話で盛り上がるのは言うまでもない
『窓を開けていたらどうなっていたんだ?』と…