以前、カミサンを連れてパチ屋へ。裏口のない店、1階左奥の島。
その通路には、約10台。つまり背中合わせに20台ぐらいある感じ。
正面から見て通路右側の、手前から3台目と4台目に並んで座る。
もともと稼動の良くない店で、その列にはわれわれ以外いない。
打ち始めると、ふと左から気配。その方向(通路奥の隅)を見るが、誰もいない。
しかし気配だけは消えず、どんどん強くなってくる。
ちょっと霊感がある俺には、「いるな……」と分かっている。
やがて、気配は人の形になる。冬物ロングコートを着た男性。腰から下だけが見えている。
俺はカミサンに言う。「あそこにいるけど、見える……?」
霊感がないはずのカミサン、ギョッとした顔になって……
「形は分かんないけど、なんか雰囲気がヘン! 壁がゆがんで見える!」
こっちへ近づいてくることもなく攻撃的な感じもしないので、
「帰ったほうがいい?」と言うカミサンを制止して、打ち続ける。
“霊”の姿は、相変わらず腰から下だけ。上半身は霞にかかったように見えない。
俺は頭の中で、話しかけてみた。
「あなたもパチンコ好きだったの? 俺たちの台、当ててみてくれないかな?」
すると数分後、俺に大当たり。続いて、カミサンも。
「ありがとう」と言うつもりで左を見ると、“霊”の姿はなく気配も消えている。
仕方なく心で「ありがとう」と念じ、「できたら成仏してくださいね」と俺。
約2時間後、2人で10箱ほど出してヤメ。
徒歩での帰路、「たぶんスーツにコート姿の男性だった」とカミサンに説明。
「当ててみて、と頼んだら当たったんだよ」。
「じゃあ、いい人だったのかな。視界はおかしかったけど雰囲気はヘンじゃなかったし」とカミサン。
家に到着。うちは、マンションの3階。先に階段を上がったカミサンが、
「あっ!」と声を上げてうずくまる。「どうした?」と俺。
するとカミサン、「さっきのコートの人って、茶色のコートだった?」
……正解。茶色の、ツイードみたいなコートだったよ。
「見て、うちの前……」
すると、間違いなくパチ屋にいた“コートの人”が、
うちの玄関の前、今度は全身が見える形で立っていた。
14の長文ごめんなさい(変な空き行も)。続きです。
その後、われわれは仕方なく、いったん家には入らずコンビニに行き、
塩を買って戻りました。
コートの“霊”から悪い感じはしないものの、一緒に“帰宅”するのはイヤだったので、
お清め程度ぐらいはしようかと。
コンビニは近いので、行って帰って約5分。戻ると、“霊”は消えてました。
とりあえず玄関前などに塩をまき、ふたりで手を合わせてから入室したわけです。
以後は、何もありません。
まったくの実話(10年以上前)なので、面白くなかったらゴメンナサイ。
ちなみに、店は東京練馬区の某店。とある映画にも登場しました。
まだ営業してますが、おどろくほど閑古鳥だそうです。