姉の体験談なんだけど投下
地元の神社は近いこともあって高校卒業まで正月や祭事があれば巫女のバイトをしてたんだけど
その神社は結構な曰く付きで、昭和時代に3代に渡り神主が境内で自殺してるんだ
それもあってか、町内だけでなく近隣の自殺者が境内で首を括ることが多くなってた
昔、ワイドショーにも取り上げられたことがあるらしい
で、昔は祭事の際は禊ということで巫女は社務所に寝泊まりする習慣があったんだけど
そこで姉は自殺者を発見して、その前に怖い体験をしたらしい
ここからは姉の体験した断片的に聞いた話を自分なりに解釈して書いてく
秋祭りの禊で社務所に5人ほどの巫女バイトとともに寝泊まり始めて3日目の夜
食事も終わり、風呂にも入り、さて寝ようかと皆でワイワイと布団を敷き始めた時
外に誰かが訪ねてくるジャリジャリという音が聞こえる
小さな治安のいい町だし、変態ということは考えられない
こんな夜更けに誰かお参りに来たと社務所からそっと覗いた
そうしたら首を凄くもたげた黒い影が二つ
拝殿に向かってゆっくりと歩いていく
それを見てゾーっと背筋が凍ったみたいになった
その二つの影はどう考えても人間には見えない
彼らは歩いてるのではなくて揺らめくようにつーと進んでるだけ
境内には外灯がひとつ、拝殿の前にあるだけで
そのまま、影は拝殿に消えてった
慌てて他の巫女たちにそのことを伝えると
「見に行こう」という話になった
足音は他の巫女にも聞こえてたので、みんなは「姉の見間違いで単なる参拝者、もしかしたら賽銭泥棒かもしれない」と思ったらしかった
みんなで社務所を出ると、あたりを見回す
誰もいない
変だなあと思って、それでも本殿に回ってるのかもしれないと思い皆で回ってみても誰もいない
結局、「野良犬か猫が歩いてたんだろう」という結論になって社務所に戻ったらしい
で、先頭を歩いてた子が社務所の扉を開けようとした子が立ち尽くしたまま扉を開けようとしない
あれ?と思っていると「ギャー」と叫んで社務所の中に勢い良く駆け込んだ
意味もわからないまま、姉も含め他の子もパニックを起こしたまま社務所に飛び込んだ
何があったのかと聞いても入り口を指差したまま泣きじゃくるばかりでマトを得ない
皆で玄関に行くが何もいない
どうしたの?何があったの?と聞いていると
やっと「外、外に人!」とだけ
外?誰もいなかったじゃないともう一度確認しに行くと玄関の前に立った子が固まる
「あそこ、人が首吊ってるよ…」
外灯の横の木に縄をかけて首を吊ってる人がいた
社務所に先頭で戻って叫んだ子は扉を開けるとき扉のガラス越しに反射した反対側の風景に首を吊った人を見つけたんだ
不思議なのは、足音と黒い影、そして自殺者が首を括った時間
そして全員で見回りした時は誰もいなかったのに本殿から戻るまでのほんの少しの時間にどうやって首を吊ったのか
ダッシュで境内に入り迷いもなくすぐさま木に縄をかけて括っても間に合わない
もしかしたら足音は自殺者のもので姉が外を覗いた時には首をくくる準備をしていたのではないか
みんなが外に出てきたので一時的に隠れてて皆が本殿に回ったタイミングで括ったのが真相かもしれない
けど、境内は開けているので人がいればすぐ気づいたとも
そしてジャリジャリという歩く足音と姉が見た影がなければ朝まで誰も気づかなかっただろうこと
姉はあの足音は人間らしい二足歩行で重みがあって動物なんかでは無かったという