10年以上前の話。
マンスリーマンションに住んでいた。
いかにも出そうな雰囲気で、壁に掛けてあるピエロの絵の
額の裏にはお札のようなものが貼ってあった。
そして案の定、住み始めた時から奴らは姿を現した。
黄色い帽子かぶって赤いランドセルを背負った女の子や
髪の長い女の人。
昼夜問わず泣き叫ぶような、気が狂ってるような女の叫び声。
小さい頃から見えてた私は、またか。くらいに思って、
毎回「うざいから出てくんなクソ!」と追っ払ってた。
ある日の夜その部屋でベッドに座ってテレビを見ていると、
鍵とチェーンをかけてるはずのドアが急にバターン!!と
大きな音をたてて開いた。
驚いてドアの方を見ると私の目の前に、目が血走ったおっさん
がナイフを自分の頭上まで振り上げて、今にも私を斬り殺そうと
している姿があった。
一瞬の出来事で逃げる事もできず、おっさんが幽霊なのか
人間なのかの区別もつかず、とにかくびっくりしすぎて仰け反る
ようにベッドから落ちた。
そして頭を床に強打し意識がなくなった。「あ。死んだな。」と思った。
意識が戻り、夢?と思ってたらそこは床の上だった。
意識がなくなる前と同じ状態。
あんな殺意のある奴に会ったのは初めてだったから
さすがに怖かった。
次の日の朝、一番仲の良い友達から連絡があった。
昨日の夜、強姦されたと。
泣いた。
まさかと思い特徴聞いた。
短髪黒髪色黒茶色のジャケットのおっさん…まさに私が
昨日見たおっさんだった。
私は次の日その部屋を引っ越した。