オカルト

【オカルト】呪術の儀式

173: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:43:47 ID:0KGdPyrG0
2ヶ月前、勤めていた零細企業が倒産し、
おかげで俺は無職プーの身になっちまった。
20150202c

俺にはロクな学歴がなく、
マジで再就職がヤバい。職安で紹介される会社に応募しても、
ほとんど相手にしてもらえない。おまけに金もないので、
ボロいアパートに独りで引きこもりだ。
家族がないのが、せめてもの救いだ。

 

174: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:45:37 ID:0KGdPyrG0

で、引きこもってみてわかったんだけど、俺の隣室のやつも
引きこもりだったんだ。昼間、ときどき青白い細身の青年と
廊下ですれ違うんだけど、これが隣室のやつだった。
だけど、こっちから挨拶しても、何か口ごもりながら頷く
ぐらいで、どうやら本格的な引きこもりみたいだった。

で、困ったことに、こいつの部屋から、毎日きまって午前10時
と午後3時に、奇声というか呪術の儀式みたいな不気味な声が
聞こえてくるんだ。おまけに、猫かなにか動物の「ギャア」って
悲鳴が聞こえたり、小さな鐘を叩くような金属音が、チーン、
チーン、と聞こえてきたりする。
このあいだ、TVのニュースで、俺のアパートの近所で猫の頭が
大量にU字溝に捨てられていた、と報道されたんだけど、俺は
ぜったい隣のヤツの仕業だと思ってる。

 

175: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:46:13 ID:0KGdPyrG0

俺はというと、外出する金はないし、暇だけはウンザリする
ほどあるので、おきまりの2ちゃんねらー街道一直線だ。
気味悪い隣の「儀式」のことも、ある夜、オカルト板の某スレに
書き込んで聞いてみた。そしたら、それは死霊を呼び出すための
●●●という呪法の準備儀式だと教えてくれるやつがいた。
何でも、それは死霊を呼び出して、呪殺のための使い魔として
使役する呪法だそうだ。
俺は面白半分で、いろいろ細かいことを聞いてみた。

ところが、そんなレスのやり取りの間に、もう一人変なやつが
割り込んできた。
そいつもその呪法にやたら詳しくて、先に俺にいろいろ教えて
くれたやつの説明に、いちいち細かいイチャモンをつけ始めた。

「そこはそんなやり方じゃねえぞ」
「それは最強の方法じゃない。最強の方法は別にある」

挙句の果てに、

「オマエ、実際にこの呪法を使ったことないのバレバレ」
「しょせん本で読んだだけの知識だな(w」

 

176: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:46:43 ID:0KGdPyrG0

俺はそのカンに触る挑発的なレスにちょっと切れて、

「本気で実践してるオマエは基地外」
「オマエは引きこもりで呪術ヲタの変態ニート」

などなど書き込んでやった。
そしたら、そいつも反論してきて

「間違った内容を正す事のどこが悪い」
「その呪法のバリエーションのなかで一番強力なのは、自殺して
自分の霊で直接相手を襲うやり方」

などなどと。俺は更にムカついて

「だったらテメーで芯で俺を呪殺してみろ!不細工キモヲタ野郎」

と罵倒してやった。

 

177: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:47:13 ID:0KGdPyrG0

そんなふうにして応酬はどんどんエスカレートし、ムチャクチャな
バトルになっていった。最後にそいつは、

「最強の呪法でオマエを殺す!俺の死霊で必ずオマエを殺してやる」

などと書き込んできた。で、俺が

「ヨーシ!氏んでくれ、絶対になっ(w」

と返したら、もうそれからレスがなかった。
ザマーみろ、逃亡しやがった。

 

178: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:47:46 ID:0KGdPyrG0

もっともバトルに勝利したとはいえ、俺はおもいきり不愉快だった。
おまけに隣の部屋からは、また不気味な呻き声みたいなのが聞こえ
始めて、もう気分は最悪だった。
壁を蹴とばしてやろうかと思ったが、我慢してその日は寝た。

翌日、下の階の住人が、天上から血がたれてきたって騒いで、
警察は来るわ救急車はくるわの大騒ぎになった。俺の隣室の男が、
手首やら首やらあちこち切り刻み、おまけに自分の舌まで噛み
切って死んでたそうだ。
俺も警官から事情聴取を受けたので、昨日の夜うめき声みたいな
ものが聞こえた事を話した。どうもそのときに手首とか切ってた
らしい。

 

179: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:49:05 ID:0KGdPyrG0

で、その夜は隣の自殺の事を考えちまって、正直、電気消して寝る
のが怖かったんだけど、いつまでも起きてるわけにもいかないので、
むりやり蛍光灯の紐引っ張って寝たよ。
でも、やっぱり怖くて、なかなか寝つけなかったんだ。そうしたら、
どこからかブツブツいう声が聞こえてきて、おまけにチーン、チーン
という、例の奇妙なメロディの鐘の音がかすかに聞こえてきた。
冗談じゃねーよ。飛び起きて蛍光灯をつけようとして、闇の中を
ぶら下がっている紐を手探りしたら、何かを掴んだ。髪の毛みたいだ。
えっ?とおもって両手を伸ばして手探りすると、闇のなかにぶら下がって
いる逆さまの人間の頭みたいなものを両手で掴んじまった。
ええっ?おれが声をあげそうになった瞬間、だれかの手が、俺の喉首を
もの凄い力でガッと絞めてきた。その手はすさまじい力で俺の喉首を
絞め上げてくる。俺は絶叫しながら必死にもがいたが、鼻血がでて
くるのを感じ、意識が遠くなりかけた。

そのとき、部屋のドアをドンドン叩く音が聞こえた。大家がおれの
名前を呼んでいる。それだけ聞いて、おれは失神した。

 

180: 本当にあった怖い名無し 2006/01/23(月) 22:50:13 ID:0KGdPyrG0

気がついたら、部屋の蛍光灯がついていて、大家が心配そうに俺を
見つめていた。おれは布団の上に、黄色い小便もらしてひっくり
返っていた。自殺騒ぎで住人の様子が気になった大家が、夜中に
アパートを見回ってたところ、俺の部屋から呻き声が聞こえたので、
ドアを叩き、最後はマスター鍵で飛び込んできたとの事だった。

こんな騒ぎが続いたので、住人はみんな引っ越してしまった。
で、呪殺のご指名をくらった一番恐い立場のおれだけが、無人に
なったこのボロアパートに今も独りで住み続けている。
なにしろ無職プーなもんで、引越し資金がないんだよ。
ビンボは嫌だよな。早く俺を就職させてくれ。

 

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