実家の建て替えのため近所のマンションでしばらく
一人暮らしすることになった
荷物の保管場所も兼ねてたので3LDKの間取りのうち1LDKだけ使って
暮らしてた。
引っ越ししてしばらくは何事もなく、友達呼んで朝まで酒飲んだり
してたんだが、寝ようとしてベッドに横になりうつらうつらすると、
昼夜問わず何やらよく聞き取れないが読経のような声と太鼓を
ドンドンとたたく音が聞こえるようになった
そんなに大きな音ではないのであまり気にも留めずそのまま
寝てしまっていたんだが、1週間くらい続いた後から変な夢を見るようになった
それは、凄い美人でスタイルもいい若い女性が近づいてくるや
いきなり抱きついてきてひたすら愛し合うという夢
1回や2回なら気にならないんだが、毎晩毎晩同じ夢を見る
実際には体験したこともないし、知識すらなかった体位で責められたりした
朝起きると、パンツが汚れているのは当たり前で、パジャマをぬぐと
夢の中で噛まれた場所に何か跡がついてたりした
誰かが実際に俺を襲ってるのかとも思い、寝る前に厳重に戸締りして
ドアにもチェーンをかけたり、フローリングの床に砂を撒いてみたりしたが、
現実に人が侵入してる形跡は全くなかったんだ
俺自身がおかしくなってしまったのかと思い、ビジネスホテルに
泊まってみたが、その時にはぐっすり眠れた。
そう、ぐっすり眠ることの有難味をこの時は実感したよ
毎晩毎晩、責め立てられて朝起きるとグッタリしてたからね
友人には、痩せて生気がなくなってきたぞ、疲れてるのか、と良く言われた
でも、何か夜が来るのが楽しみな自分がいるんだよね
今でいうと吉木りさに似てたと思うんだが、そんな美女に徹底的に
奉仕されるんだからな
奉仕されすぎて責め立てられてる感もあったけどww
自分でも日に日に痩せて元気がなくなっていくのは実感してたし、
その部屋で寝なければ大丈夫なのも分かってたんだが
ついつい甘美な夢が楽しみで自室ベッドに横になり、うとうとしだした頃に
聞こえる読経のような声と太鼓の音を心待ちにするようになっていた
やがて実家の建て替えが終わり、俺のその部屋での生活も終わったわけだが
174cmで68キロあった俺が、約半年で49キロまで痩せ細ってたよ
親や友達は俺が自炊をめんどくさがってロクに食事しなかったと
思ってたようだが実際には文字通り精気を吸い取られていたんだよな
俺は期間限定だったから良かったけど、普通に引っ越ししてたら
最終的にはどうなっていただろうかと考えるとぞっとする
きっと、干物のように干からびて死んでいたかもしれないよ
そうそう、もう一度だけあの夢をみたいといくら念じてもその後は
まったく見ないな
あの女は何者だったんだろう
内容が内容なので誰にも聞いたりしてないんだよね
今は実家から遠く離れたところに住んでいるので、そのマンションが
どうなっているかは分からない
以上、下らない昔話に付きあわせてすまんかった