私の実家の部落(この場合、集落という意味)に、珍しい石を探して拾い、それを売って生計を立てている男性がいました。
子供の頃、よく話を聞いたものです。
私は、彼を「石じじい」と読んでいました。
(本人の前では言いませんでしたが)
彼は、珍しい石を求めて四国の山や海岸を歩きました。
戦前の生まれで、若いころは朝鮮に住んでいたそうです。
戦後は、実家にもどり半農半石拾いで生活をしていました。
>>477
(つづき)
石じじいの話です。
石を求めて、ある山を歩いていた時、山道を横切る白いロープを見たそうです。
それは、綿のやや太いもので、山道を横切って両側の山斜面(上の方と下の方)に述べていたそうです。
じじいは、私有地の境界線と思ったらしいのですが、
「こがいな、山奥で、ようこげな厳密なことをするもんよ!」
と不審に思いました。
彼は、そのロープを追って、山の斜面を登りました。
ロープは、延々と山の上に続いていたそうです。
ロープを手に持って引っ張ってみると、最初はズルズルと引き寄せることができましたが、やがてピンっと引き寄せなくなったそうです。
どんどん山の斜面を登っていってもロープは延々とづつきました。
これでは、キリがないので、山道までもどって、石探しに戻りました。
石を少し拾って、山道を戻るとロープはもとのところにあります。
今度は、それを山の斜面をくだって追っていきました。
ロープはまた延々と続きます。
長いあいだ歩くと、急に森が途切れて、崖にでました。
そこからも下へロープは続き、下にあるため池の中に入っていたそうです。
もう、里の方まで降りてきていたのです。
ロープを引っ張るとピンと張って、ロープの続きは池の中からでてこなかったそうです。
どうしようもないので、そのまま山をおりて帰ったそうです。
その山には、二度と行かなかったということです。
ロープは、綿製でしたが真新しく置いてすぐに見えたそうです。