洒落にならないってほどじゃないかも知れないけど、消防当時は本気でぞっとした話。
当時、友人Aが、自分の父親の会社が持っている保養所に、子供だけで旅行しに行こうと発案した。
本当は身内しか利用できない施設なのに、全員が「Aちゃんの従兄弟ですう」とか「Aちゃんのハトコですう」とかw
大嘘ついて同行させてもらった(まあ保養所だってわかってはいたんだろうけど)
その時、同じ小学校じゃないヤツが混じってた。Aの保育園時代の友達Sちゃんだ。
結果から書くと、Sちゃんとは、子供同士すぐにうちとけあって、旅行中は皆で楽しく過ごせたんだが、
二年後の夏、Aから、Sちゃんの急死を知らされることになる。事故だった。
・・・同年代が死ぬ、って体験が初めてだっただけに、旅行で一緒だった仲間たちは皆ひどく悲しんだ。泣いた。
そして、驚いた。
Sちゃん急死の知らせのすぐ後、旅行仲間の一人が近所の市営プールに泳ぎに行った。
ロッカールームは時節柄メチャ混み。彼はやっと空いたロッカーを見つけシャツを脱いでいた。すると、 向こうでこちらを見つめているヤシがいる。
ん? と思ってふり返ると、それがSちゃんだったと言う。
びびって、思わず、Sちゃん! と叫んだそうだが、一瞬の後に姿は消えたらしい。
「まっさかー、お前嘘言うなよー」
・・・その話を真っ向から否定したのは、旅行仲間FとNだった(俺はわりと信じちゃってたんだけど)、
が、Fのほうが、後日、同じ市営プールに父親と泳ぎに行き、混雑したロッカールームで、 やはりSちゃんを目撃した。
先の目撃談と異なり、 Fが脱衣中にFのわきをすり抜けるようにプールサイドへ飛び出す少年がおり、 ぶつかられたFがむっとしてその姿を目で追ったら、Sちゃんだったという。
まさかと思いFはとっさに後を追ったが、 プールサイドに出て眺め渡しても、Sちゃんの姿はもうなかったという。
保養所で幽霊が出たなら解るが、どうして近所の市営プールだったんだろう?と、俺らは話し合った。
「保養所でもプールでさんざん泳いだじゃないか。来年もまたここへ泳ぎに来ようよとか言って。
でも、結局それきりになった。俺らと一緒に、Sちゃん泳ぎたかったんじゃないの?」
何となく、そういう結論に至った。