長く無い上に怖くないかも。
誰にも言えないからここに吐き出させて下さい。
随分前に両親は離婚しているが、父親がろくでもない人間だった。
暴力を振るうし、浮気相手の女を家族がいる自宅に連れてきてた様な真性のクズ人間。
自分が恐らく3歳か4歳くらいの頃の朧げな記憶なのだが、珍しく父親、母親、4つ上の兄貴、3つ上の姉貴、俺の家族全員 で旅行に出かけた。
家族全員で出かける事なんて滅多になかったからこそ、この日の事をよく覚えているんだと思う。
出かけた先の地名は全くわからないが、割と都会に住んでいたので、とにかく凄く遠い緑の多い山中の小さな遊園地の様な施設だったのは憶えている。
父親はバイクしか持っておらず、その小旅行は山道をバスで移動してた。
バスの中、皆でしりとりして遊んだっけ。
施設でなにして過ごしたか憶えてないけど、楽しかった様な記憶はある。
その後は夕方になったところから記憶があるんだが、外に沢山置いてある、パラソル付きの白い丸テーブルに俺と姉貴。
なんでかは分からないけど、母親が珍しくアイスクリームを買ってくれたんだ。
(父親はパチンカスだったので常に貧乏で、おやつなんてほとんど食べた事無かった。食パン1枚に目玉焼き乗せて兄弟3人で分け合う事もあったくらい。)
俺と姉貴は嬉しくなって一生懸命アイスを頬張って。
冷蔵庫で凍らせたオレンジジュースしか知らなかったもんだから「美味しい!」なんて喜んでたっけ。
…しばらくして、アイスを食べ終わった俺と姉貴は、周りの様子がおかしい事に気が付いた。
さっきまでいたはずの母親の姿が消えていて、周りの客も皆いなくなってた。
姉貴とどんな会話をしたかは覚えてないけど、2人で泣いて親を探しに走った。
沢山走って、走って走って。
凄く走ったと思う。
施設の出口だったのか、遠くにバスが見えた。乗ってきたのと同じバス。
そのバスを見て俺はある事に気付いた。
バスのドアは開いていて、今まさに両親と兄貴がバスに乗ろうとしてたんだ。
「待ってー!!」とか「お母さーん!」とか叫んだような気がする。
泣きながら姉と2人でバスに向かって走った。。
こっちに気付いた母親がハッとした顔をした後、大きな声で「早くしなさい!」と叫んだ。
間に合って、なんとかバスに乗れたんだけど、俺も姉貴もバスに乗り遅れそうになった自分が悪いと思ったのか、親に文句は言わなかったんだ。
親も俺たちに何も言わなかった。いつも通りだった。
そのまま、何事も無かった様に帰りのバスでも兄弟でしりとりして帰ってきたんだ。
(帰りのバスは少ししか記憶が無いから、すぐに寝たんだと思う)
記憶があるのはここまでなんだけど、大人になってからこの日の事をふと思い出してもの凄く怖くなった。
俺が小学3年生になって両親は離婚。
兄弟3人を引き取って、しっかり育ててくれた母親。
兄貴が可愛がられていたのは分かってるけど、人間的にも尊敬できる母親がこの時、俺と姉貴を捨てようとしたのか、本当は尊敬なんてできない人間なのではないか…
と思うと心の底から色々な感情が湧いてきて、ほんのり。