俺のサークル友達のリエコは可愛くて面白くていい子で、この間サークルの合宿でみんなで集まってお互いの恋愛話なんかして盛り上がってた。
それで、今までで一番好きだった人の話になったんだけど、リエコがこんな話をしてくれた。
リエコは高校三年の秋くらいにクラスの大嶋っていう男子と付き合うことになって、それまでほとんど恋愛経験のなかったリエコは大嶋に夢中になったそうだ。
大嶋は手も早かったみたいで、リエコの処女を付き合って早々に奪ったみたいだった(ここらへんリエコはあいまいに濁してたけどw)。
そんなこともあってかリエコは大嶋にぞっこんで大嶋もリエコを大事にしていたけど、二人とも同じクラスの連中には付き合っていることを隠してた。
どうやら大嶋の元カノは同じクラスらしく、クラスの連中には気まずくて言えなかったらしい。
この元カノが結構な問題女で、大嶋と付き合っているときはほかの男と散々浮気をするわ、出会いカフェに入り浸るわでいわゆるビッチ。
それが元で大嶋と別れた。
リエコはそんなひどいことをされた大嶋を可哀相に思い、精一杯愛した。
付き合ってからしばらく経ったある日、大嶋からのメールの返信がこない日があった。
次の日大嶋に問い詰めても言葉を濁すだけでなくリエコを避ける。
リエコは落ち込んで、女友達と話していると、元カノが話の輪に入ってきて
「大嶋とよりを戻せるかも!」
と嬉しそうに話しだした。
リエコはめちゃくちゃびっくりして、祝福するみんなの中ひとりだけ無言でいたが、自分が今の彼女という事実があるため冷静でいた。
が、次の元カノの台詞でリエコはひどくショックを受けた。
「さっき大嶋と廊下でキスしてきたし、大丈夫」
何それ、どういうこと?
私がいるのに他の女とキスしたの?
元カノが大嶋にしたことを、今私にもしているの?
わけがわからなくなったリエコは、その日大嶋を自宅近くの公園に呼び出して問いただした。
「ごめん。やっぱりリエコとは付き合えない」
リエコはとても悲しんで、どうしていいかわからず別れを受け入れた。
それ以来リエコは毎日のように泣いて、みるみるやつれた。
学校へ行けば何もなかったかのようにつきあっている大嶋と元カノ(今カノか)がいるから学校に行くのも辛いが、心配されるのも嫌だったのでしかたなく行った。
大嶋に捨てられた自分がみじめで恥ずかしく、誰にも相談できずにいると、夢に大嶋がでてきた。
夢の大嶋は裏切らない。
リエコは夢の中の大嶋を愛した。
何度も夢に見るようになってから、だんだん体の調子も良くなって、学校に行くのも普通になった。
リエコの学校は大学の附属で、大嶋は大学にそのまま推薦をもらっていたので(リエコは俺と同じ大学に推薦)、三学期はほとんど学校に行かなくても良かった。
けど大嶋はここしばらくずっと休んでいた。
休む理由は体調不良だったが、時期が時期だっただけに誰も気にしなかった。
そして大嶋がこないまま卒業式が行われた。
その頃にはリエコもすっかり元気になったみたいだが、大嶋に関しては誰もイマイチよくわからなかったみたいで、元カノもやっぱり違う男をつくって大嶋と別れていた。
リエコは卒業式に元カノに大嶋のことをなにげなく聞いてみたら
「なんか夜中に体動かなくて吐き気するんだって。女の人みたいな気配がまとわりつく、みたいな。幽霊かな?ヤバイよねー」
って言ってたんだとさ。
リエコは話し終わったあと
「大嶋に罰が当たったんだよきっとw」
なんて笑ってたけど俺はたぶんリエコの生き霊なんじゃないかと思ってる。
ちなみに大嶋は俺の友達が地元一緒のやつがいて、話聞いたら今は元気らしい。
女ってコエー。恨みを買うもんじゃないな。