仲良かった連中が全く帰省してきておらず、つまらないので浪人時代によく通った定食屋兼居酒屋みたいな店に久しぶりに行った。
去年のお盆に帰省したとき。
仲良かった連中が全く帰省してきておらず、つまらないので浪人時代によく通った定食屋兼居酒屋みたいな店に久しぶりに行った。
店の親父さんも奥さんもまだまだ元気な感じで、当時の俺の事を覚えていてくれた。
で、一人で酒を飲んでいると、その居酒屋に高校時代の同級生がふらっと入ってきた。
そいつは当時、割と大きめのスーパーを経営してる家の息子で、小太りな容貌もあって「社長」の渾名で呼ばれていた奴だった。
昔と違って激ヤセしていたので俺の方は全く気がつかなかったが、社長の方は俺に気がついたらしく、俺の名前を呼んで声をかけてきた。
高校時代は同じクラスだった程度で、一緒に遊んだこともない程度の繋がりだったが、かなり積極的に昔話をしてきたので、俺もなんとなく懐かしい気分になって楽しい一時を過ごした。
ふと我に帰ったときは店の奥さんに起こされている状態だった。
いつのまにか酔いつぶれて眠っていたらしい。
気がつくと社長はいなくなっていた。
まあ、だいたい、この後の展開はわかるだろ。
親父さんや奥さんに聞いても、社長のことは覚えていない。
不思議に思って親に聞くと、そのスーパーは社長が後を継いでしばらくして、大手のスーパーに客をとられて廃業。
キレた社長は誰もいなくなったスーパーに火をつけて焼身自殺してたって展開。
で、俺と話してた人は誰だったの?ってオチ。
ベタだけど実話なんだよな。
後日談だが、今年の正月に高校時代の友達からメールが来て、社長の連絡先を聞かれた。
電話で連絡先を知りたい理由を聞くと、年末に友達と二人で居酒屋で酒を呑んでたら偶然社長と出くわして、一緒に飲んだんだが。
トイレにたったきり、戻ってこなかったんだそうだ。
なんで社長とたいして親しくもなかった俺に連絡先を聞いてきたかというと、
その席で、二人とも
「今度○○君(俺)もよぶから、みんなで遊ぼう」と社長が何度も言ってたからだそうだ。
で、そのときに社長と一緒に飲んだ、俺にメールしてきてない方の奴が先々月に死んだんだわ。
交通事故だったと聞いてるけどな。