この間、親父の兄貴が亡くなった。
ほんのり怖い話してもいいかな。
この間、親父の兄貴が亡くなった。
親父の兄貴、つまりおじさんは(俺からして)
祖父母のことを、親を親とも思わない、酷い仕打ちしかしてこなかった親不孝者の屑だったと聞いている。
詳しいことは知らんか、7年前にじいちゃんが死んだ後、2年後に具合悪くして入院したばあちゃんの見舞いにも行かず、毎日暴言を浴びせそれはそれは辛く当たっていたらしい。
さらに、片道500キロ離れた他県に住んでるうちの親父も知らない間に財産分与も勝手に済ませ、自分にしか財産が回らないようにもしてたらしい。
親父は他県に住んでることもあり「頼むから、親だけは大事にしてくれ」と何年も訴え続けていた。
その後、ひどい仕打ちを受けてたばあちゃんも亡くなった。
それから6年たったある日。
親父の元に、おじさんの奥さんから電話がかかってきた。
奥さん曰く、おじさんが目以外の、体の全てが動かせなくなる奇病にかかったそうだ。
唯一残された肉親である親父が見舞いに行くと
ガリガリに痩せこけたミイラのような体、目だけギラギラしてて恐ろしい顔になっていた。
話せないし動けない。でも頭はしっかりしている。まさに地獄の苦しみだろう。
「親不孝のバチが当たったんだ」と親父は言っていた。
難病にかかって4年、苦しんで苦しんでおじさんは亡くなった。
親父と母だけで、葬式にも参列した。
そこでは、特に何が起こるわけでもなく、式は滞りなく進み、葬儀が終わった。
問題はその後だ。
おじさんが亡くなってから1ヶ月ほど経ったある日。
その日は、親父も俺もいつものように仕事で家には母一人だった。
ふと、嫌な気配を感じて母が玄関に向かうと、亡くなったはずのおじさんがすりガラスの窓がついたドアの向こうに立っていたと言う。
来客であればドアホンが鳴って、モニターに映る。
でも何も居ない。
ドアの向こうに誰か居るなら顔なんてわかるはずがないと思うだろ?
でもドア越しにも「はっきりお兄さんだとわかった」と。
昔から、母には所謂「霊感」というものがあるらしく、普段は見ないけどたまに見るときがあるらしい。
元々、そんな人だからか、おじさんの葬儀が終わって帰ってきてから念のため玄関に盛り塩をしておいたおかげで、そのおじさんの霊は家には入ってこなかったらしい。
おじさんは、特に何をするわけでもなくふっと消えた。
母が言うには
「多分おじさんは難病にかかってから辛い苦しい思いをして、過去に自分が親にしてきた罪を十分思い知ったんだと思う。母さんは、あれだけ苦しんだらもう罪は償ったと思う。
お兄さんは、気持ちを改めてお父さんに謝りたかったんじゃないかな」
とはいいつつ、親父には何も言ってない。
特にオチはないんだが、思い出したので投下。