友人もいなくて趣味もゲームだけ、人から見たら淋しい人生を送っていたと思います。
心配かけたくない一心で親にも誰言えず、ずっと一人耐えていました。
高校も卒業となり今までの生活を変えようと県外の大学を受け、見事合格し、嫌な思い出しかない地元を出ました。
新しく始まった大学生活は僕にとって最良の物となり、初めて友人が出来て友人と遊んだり旅行に行ったり等、今までした無い事を多く経験する事できました。
彼女なんて出来ませんでしたが高望みなんて出来ず、友人が出来た事だけで嬉しくて大学生活が楽しくて仕方なかったのを覚えています。
ですが楽しい出来事は本当に早く過ぎる物で、あっという間に就職活動となりました。
就職は大手の企業に決まり、大学生活での事を活かし、ここでもしっかり良い人間関係を築いていきたいなと思っていました。
僕はまたしても社内でのイジメにあいました。社会人になってからのイジメは学生時代に受けた物の比ではなく、肉体的では無いものの悪質で精神的に追い込まれて行きました。ですが、喜んでくれた親、祝ってくれた友人達を思えば簡単に辞める事も出来かった僕は必死で耐えて仕事を続けました。しかし、やはりイジメは無くならず友人に相談したくとも、新しい生活が始まったのは自分だけではなく、迷惑をかけたくないと、ずっと一人で背負い込んでいました。就職して三年が経ち遂に耐えれなくなった僕は仕事を辞め、自分のアパートに引きこもりました。
三年間遊ぶ事もほとんど無く退職金も出て少しは蓄えはあった為、昼間は寝て、食事はコンビニ弁当で済まし、夜はひたすらパソコンと向き合う生活を送っていました。
そんな自堕落な生活の中、僕はある投稿型のオカルトサイトを見つけ、そのサイトに僕はハマり依存しました。
様々な作品を読み、実話なのか創作なのかわからない、でも引き込まれるような魅力を持ち、どんどんのめり込むようになり、遂に僕はある決心をしました。
もし、実話なら僕も体験出来るかもしれない、体験出来てそれを書き込めば皆の仲間入り出来るかもしれない、そう思い込み単身で心霊スポットと呼ばれる所へ行きました。
行ったのは幽霊が出ると噂の滝でした。
懐中電灯片手に一人で滝までの道を歩いて行きました。
途中地蔵などがあり元々気の小さな僕はずっと体を震わせ周りを見回りながら歩いて行くと、噂の滝に辿り着きました。
自宅に戻り、体験出来なかったが心霊スポットに行った事で少しは皆と仲間になれたかなと、少し嬉しく思いながら、帰りに寄ったコンビニで買った弁当を温めていると、後ろから視線を感じました。僕は「そんな噂知らない、着いてくるなんて聞いてない」そう考えながら震え、立ち尽くしていました。
3分程経った時、電子レンジの音が鳴りビクッとなった瞬間、視線が無くなり、ゆっくり後ろを振り返りましたが何もいませんでした。少し安堵しましたが、着いてきたなら、どうにかしないとと思いあらゆるサイトを見て様々な方法を試しました。
盛り塩をしたり、日本酒を撒いたり、お経を読んだりし、しばらく様子を見ていましたがそれからは視線等はありませんでした。
効いたんだなと思い、やはり僕に心霊スポットなど行くべきではないという事なんだなと思い、前の生活に戻りました。前の生活に戻り、10日位経ったある日、いつも通りコンビニに弁当を買いに行った帰り道でした。
後ろに何か気配を感じましたが、どこかのサイト気付かないフリもいいと見たのを思い出し、なるべく自然に帰ろうとしていましたが、やはりそんな冷静には出来ず、震えながらも、盛り塩をしてある自宅へ早く戻ろうとしました。気配は一向に無くならず、何かをしてくる様子も無い、それが余計に怖く何が起こるかも予測出来ず、ただただ震えながら歩くだけでした。すると、後ろから声が聞こえてきました。
すると気配が消え後ろを振り返るとさっきコンビニの店員さんでした。
お釣りを忘れたようで、走って持ってきてくれたようでした。
僕は安堵し軽く会釈し、お釣りを受け取りましたが、ここで一人になるとまた何かが来るかもと思い、一人で危ないと理由をつけ二人でコンビニに戻り、コンビニからタクシーを呼んで自宅へ戻りました。
それからは毎日家にいても外から覗かれるような視線を感じるようになりました。
ですが良くはわかりませんが、盛り塩のおかげか家の中にはいないように感じました。
何かをされるわけではなく、ただ見られるだけというのは考える以上に精神的に追い込まれ、自殺未遂を引き起こしました。
しかし、死に切れずまた自宅に戻り視線に苦しまされ、また手首を切り病院に運ばれるという病院を行き来する生活になりました。
引越しもしても視線が無くなるわけでは無く、毎日絶望感に満たされた生活で心身共に限界が来ていた時でした。
送ってくれた事を感謝し気にしていたようで、ご飯に誘われました。久しぶりに人とまともに接したから話せるか心配だったが、一人になるよりマシなので了承して夜ご飯を頂くようにした。
引きこもりというのも何となくわかってくれていたのか、実家だという事もあり家へ招いてくれました。久しぶりの人の優しさが暖かく、今までの絶望感が少し減った気がしました。
もう少し何か頑張ってみようと思いました。自宅は相変わらず視線に悩まされましたが、少し強気で気にしないようにし、コンビニだけですが、なるべく行くようになりました。コンビニでは店員さんと話すようになり、少しづつ希望が持てたような気がして、どんどん精神的に強くなれたように思います。
そうしてると自然と視線は無くなりました。
もしかしたら自分の幻覚だったんじゃと思えてきました。
店員さんとはプライベートでも接する機会も増え、人生をやり直すきっかけにもなり、再就職を考えるようになりました。
ですが、それも長くは続きませんでした。
・・・店員さんが自殺したのです。
お母さんに話しを聞くと、視線を感じるとずっと漏らしていたようでした。
今も僕に見る視線を感じます。