体を洗っていると子供が扉を押してちょっと開き、「パパ~!」と顔を覗かせます。
体を洗っていると子供が扉を押してちょっと開き、
「パパ~!」と顔を覗かせます。
こらっ!と軽く言うとキャッキャッと言いながら、ドタドタと走って逃げていく。
いつも通りの風景でした。
何回かそんなことを繰り返しさすがにちょっとうっとうしくなったので、
鍵を閉めて開かないようにしゆっくりと体を洗っていました。
何回かドタドタと足音が近づき扉をドンドンと叩き、
「パパ~!」と声が聞こえてきましたが、
は~いと適当に答えていたら扉も、開かないこともあり次第に子供も飽きてこなくなりました。
やれやれという思いで頭を洗い始めたころそれは起こりました。
いつも通り頭からお湯をかぶり、
ふぅ~一息はいてから頭を洗っているとまた足音が近づいてきました。
それと同時に、まるで一回扉を開けて湯気を逃がしたように浴室がちょっと涼しくなりました。
何かに違和感を感じながらわしゃわしゃしていると、
ふと何に違和感を感じているかに気づきました。
足音でした。
先ほどまで聞こえてきたドタドタというものではなく、
ズッズッとすって歩くような変な音で今まで聞いたことがないものでした。
なんだ?と思っていると足音は扉の前で止まりました。
シャンプーだらけの顔で薄目をあけて扉をみたら、
小さいシルエットが見えたので子供がこっそり来たのかと思い、
泡を流すためまたお湯をかぶりました。
次の瞬間に扉にびちゃっ!と何かが叩きつけられる音がして、
聞いたことがない声が響きました。
すりきれて伸びまくったテープのような声で、
「ぶぁ~ぶぁ~!」と響きわたり。
下水のような臭いが浴室に漂いました。
まだシャンプーまみれの顔でなんとか目を開けて扉を見ると、
灰色の手のひらの様なものが二つ。
その間に灰色のつるつるな髪ひとつない顔の様なものが見えました。
あまりにも想定外の物だったのでしばらく動けずにいると、
口のあるはずの部分がみちみちっと裂けて、またあの声が響きました
「ぶぁ~ぶぁ~!」
声も出せないほどびびっていた自分はふと我にかえってお湯をかぶり、
シャンプーをしっかり落としてばっちり開いた目で扉を見るとそこには何もいませんでした。
それからは全く落ち着けず逃げるように浴室から出ました。
リビングに行くと義父が一人でテレビを見ていて、
かみさんと子供はすでに寝ていました。
自分の様子がいつもと違ったことに気付いた義父は、
ビールを飲みながら何かあったのか?と聞いてきたので誰か風呂にきましたか?と聞いたら、
いいやと言って視線をテレビに戻しました。
となりに座ってテレビを見ていたら一言。
まぁ古い家だからいろいろいるよ、とつぶやきました。
以上が昨日の夜のちょっと怖い体験です。
ダラダラ長くてすいませんでした。