これ昨日の夜にあったことだ。
というか発端は一昨日の夜なんだけどな。
焼酎をかなり晩酌でやって、けっこう早めに寝たんだよ。
そしたら夢を見た・・・でもよ、俺には夢とは思えなかったけどな。
ただ、常識的に考えれば夢としか言えない内容なんだよ。
部屋で布団に寝てたら胸のあたりを揺すられて起きたんだが、体が動かなかった。
かろうじて視線を動かすと、布団の両脇に人が座ってたんだ。
首が動かないからはっきり見えたわけじゃないが、どっちも煮しめたような着物の年寄りだと思った。
たぶん爺さんと婆さん。
それが俺の体の両脇に黙って正座してたんだ。ああ、気味悪りいなあと思った。
なんでかって言うと、2人とも頭がものすごく長かったんだ。
太さが人の頭くらいのミミズで、それが布団の上にまで伸びてきてた。
着物の首からミミズが出てたってことだよ。
それが蛍光灯の下で2匹、ゆらゆら揺れながら何か喋ってた。
だけどミミズだから人のような目鼻はないんだ。
こんな内容だった。
「津波が起きる~ 津波が来る~」って爺さんのほうが言って、すると婆さんが「ほんに、ほんに~」と相槌を打つ。
それをずっと繰り返してたんだ。
俺は体が動かないまま、いつしか意識が途切れてしまった。
で、朝になったわけだが、もちろん部屋には何もおらず、布団の横にもおかしな点はなかった。
だから夢と思うしかなかったんだよ。
それにしても津波ったってな、俺が住んでる市は確かに海沿いだけど、海岸からは10kmちかく離れた小高い造成地。
近くには細いドブ川があるだけなんだよ。
だから津波は考えられるとしても、俺が影響を受けるとは思えなかった。
仕事場はずっと内陸のほうだし。あんまり気にしないようにしてたら、日中は何事もなかった。
仕事から戻って夜になって、いちおう晩酌はひかえたんだよ。
それで10時過ぎに風呂に入った。湯
船の中で、また変な夢見たら嫌だなって考えてると、「お!?」屁が出そうな感じがした。
俺は風呂の中で屁をするのが好きで、ボコって泡が立つのが面白いって、子どもみたいだけどな。
で、息張ったら、肛門に向かってスゴイものが下りてくる感じがしたんだ。
ズゴゴゴゴゴ、ブババババ、ドッパーン。
巨大な気泡が発射されて、俺は大量の水とともに天井まで跳ね上げられた。
ドシッと頭をぶつけたが、天井は柔らかい材質の板でそんなに痛くはなかったんだ。
その後「ほんぎゃ~~~~~ああああっ」俺の悲鳴はアパート中に響いたと思う。
洗い場に尻から落ちてきて、立っていたシャンプーのプラ容器が肛門にめり込んだんだ。
「あ、ああ、イデ、イデデデデ、痛えっ!!!」
俺はうつ伏せに這って風呂場から出て、両手を背中に回してシャンプー容器を抜いた。
そしたら最初に糞の臭いがして、その後に血がどっと出てきたんだよ。
バスタオルを丸めたのを尻の谷間に詰めて、しばらく悶絶してた。
俺は失業中で保険証がなかったから、医者には行かなかったんだ。
今もまだズキズキする。もし大のほうが出たくなったらどうなるんだろうな。
それで風呂のほうは水が半分以上なくなってたから、もしかしたら津波ってのはこれのことかと思った。
残ってた風呂の水に何か赤黒いものが浮いてて、洗面器ですくってみたら、絡まり合って死んでる2匹のミミズだったんだよ。