【奇妙な話】不潔なアパート

工場地帯の一角に築20年程の三階建てアパートがあった
建てられた当時はそこそこ洒落てたんだろう単身者向けっぽい白黒のアパート
でも全体的に煤けてるような陰気な雰囲気でなんとなく気が進まない
その上いくら探しても集合ポストがない
面倒くさいが三階まで行くしかないようだ
あまり管理されてないのか廊下は土埃と枯れ葉やちっさいゴミが落ちてる
一階が終わり二階へ進もうとするとうっすら生臭いニオイが漂ってくる
踊り場に来ると生ゴミが入ってるらしきゴミ袋
二階は妙な光景だった
階段左側に一部屋、右側に五部屋並んでいるのだが
左側の部屋のドアポストはガムテープで執拗に何重にも塞がれてる
窓も板で塞がれてる
右側一番手前は窓にカーテンが掛かってるので空き部屋ではなさそうだがドア前に古びたダンボール箱が積まれている
中を覗くと土埃だらけの食器
どうやって部屋から出てるんだ？
三番目の部屋の近くには布団干し
そこには長い間干されっぱなしで色褪せガビガビのTシャツ
一番奥の部屋は窓に灯りがついてるから人が住んでるはずなのに
ドアポストは雨風に晒されボロボロのチラシや新聞でいっぱいになってた

三階も似たような状態だった
ドア前に黒いゴミ袋が山積みになってたり
いくつもの枯れた鉢植えを置いてたり...
奥の部屋の前はタバコの吸い殻の山
ここの住人は何でこんなに杜撰なのか
ともかく気味が悪い
チラシを配り終えたら逃げるように急いで去った

後で気になって調べたらアパートのある場所は70年くらい前は沼だったらしい
アパートが不潔な状態と何か関係あるのだろうか