盆暮れの熱帯夜、肌の不快なベト付きと喉の渇きで不意に目が覚めた
目を擦りながらふと嫁さんと俺の間、息子が寝ているはずの場所を見る
が、可愛い盛りの息子の寝顔がそこに無かった
んん?っと息子が行きそうな場所を寝惚けた頭の中に巡らせる
寝苦しさから涼を求め、ベッドの下にでも行ったか?
はたまた冷凍室にある大好きな氷でも触りにキッチンへ?
少しずつ冴えてくる思考の中の可能性が高そうな所へ行ってみようと、腰を上げた矢先
「ギギギギ…ギギ…ギィ」
ああ。居場所が分かった
盆に教えた、仏壇に手を合わせる行為をえらく気に入っていた息子は普段の生活の最中も
「のんのんちゃん(仏壇に手を合わせる行為・または仏壇そのものの事)するっ」
と言って観音開きを得意気に開けては御参りをしていた
やれやれという気持ちで仏間へ向うと、案の定開かれた仏壇の前に見慣れたシルエットがそこにあった
だが明らかに様子がおかしい。
息子は手を合わせるのでは無く顔を、いや目を覆い隠し、不自然な程ガクガクと震えている
只事ではない様子に、「○○っ!」と名前を呼びながら小さな背中に近付くと
俺の存在に気が付き、顔中涙と鼻水に濡れた泣き顔こちらに向け
大きく息を吸って精一杯の大声で状況報告をした
「のんのんちゃんがおこってるううううう!!!!」
直ぐに息子を抱えて嫁を起こし、車で三十分の俺の実家へ逃げた
いや、それだけなんだけど。なんかごめん
当時はメチャ怖くて泣きそうになってたけど
文字にするとあんまり怖くなくてワロタわくっそくっそ