別に餓鬼共の登下校を見守ってるって感じでもなく、実際俺の方を見てもいなかった
よくわからないから無視してババアの前を通って通学してた
ある日鬼ごっこだかが盛り上がりすぎて帰りが遅くなったことがあった
日が沈み終わった直後ぐらいの帰り道にいつものババアがいた
ちょっと怖かったから「こんばんは」って言いながら通ったけど返事は無かった
その夜、部屋で一人でマンガを読んでた
そしたらいきなりカーテン閉めてる窓の外から「こんばんは」って聞こえた
次の日も通学路には同じババアが立ってた
以来俺はその道を通るときはババアの方を見ずにダッシュで突破することにした
中学になってからは通学路も変わって、もうその姿を見ることも無くなった
こうして振り返るとちょっとボケが入っただけのただのババアだったように思える
でもあの夜カーテン越しに聞こえたのは間違いなく低いおっさんの声だった