凶悪な脱獄囚
若いカップルが深夜に人気のない山道でドライブをしていると、カーステレオのラジオから凶悪で危険な囚人が今走っている場所のすぐ近くにある刑務所から脱獄したと臨時ニュースが流れる。
怯えながらもドライブを続けていると、車のエンジンの調子がおかしくなり車が動かなくなる、男の方が「助けを呼んでくる」と一人で山道を行こうとするが、脱獄囚に怯えた女はそれを止める。
最終的に「きちんとロックして車の中に居れば安全だ」と男が言い、それに納得した女は車の中で男の帰りを待つことになった。
女が車の中で男の帰りを待っていると、「ズリッ…」と時折、何かをこするような奇妙な音が聞こえる。
女は恐怖に駆られたが男の言葉を思い出し、車の中で鳴り続ける奇妙な音を聞きながら、男の帰りを待つことにする。
やがて、日が昇ると一台のパトカーが女のいる車の近くにやってくる。女が安堵するとパトカーから二人の警官が降りてきて、「まっすぐこっちに歩いてきてください。
ただし、決して振り返って後ろを見てはいけません」と奇妙なことを女に向かって言う。
女は警官の指示通り、車を降りて警官のいる方向へ歩いて行くが、やがて好奇心に負けて後ろを向いてしまう。
そこには男の死体が道の脇にある木の枝に首に縄を掛けられ、吊るされていた。
一晩中聞こえていた音の正体は、殺された男の死体が風に揺れて、車の屋根を死体の足が擦っていたものだったのだ。
この「カップルがドライブ中にトラブルにあう。車外に出たほうが殺され、車内に留まったほうが助かる」という類型の都市伝説は1988年のドイツなど古くから採集されている。