子供の頃の~スレでちょっと話題に出てて書こうと思い立った。
自分は小さいころから「不思議の国のアリス症候群」の症状?があった。
時々遠近感が曖昧になったり、周りの物が大きくなったり小さくなったりする感覚になる。
大抵の場合、じっとしている時に起こるから日常生活に支障はないし
頻度としてもそれまでは1ヶ月に1~2回ってところだった。
数年前、大学生の時のこと。
夜ベッドに座って壁により掛かるような感じで座って携帯をいじってた。
携帯からふと視線を外して正面の本棚を見ると、アリス症候群が起こった。
本棚がゆっくりと小さくなっていって、自分が大きくなったような感覚になる。
嫌な感覚でもないし慣れてたから、そのままぼーっと本棚を見ていた。
自分の場合、目を何度か瞬きさせながら視線を素早く動かすと治まるから、
その時も20秒くらい本棚を眺めたあと、視線を動かして遠近感を直した。
大きめの教室の真ん中辺りに友達と並んで座っていた。
左隣りに友達が座っていて、右隣りは空席だった。
ノートを取りながら教授の声に耳を傾けていると、またアリス症候群が起こった。
今度もノートやシャーペンがどんどん小さくなっていき、自分が大きくなる感覚のタイプだった。
「昨日も起こったのになぁ…」なんて思いながら、
目を何度か瞬きさせて軽く右側を見た。左には友人が居たからだと思う。
でも遠近感は治らなかった。
あれ?と思ってもう一度やり直した。
すると右耳のすぐ横から「ねぇ」って女の声が聞こえた。
驚いて軽くはね上がり後ろを振り返ると、知らない男子学生と目が合った。
気がついたらアリス症候群は収まっていた。
キョロキョロするも近くに女子学生はおらず、焦っていると
友人が「寝てたの?」と小声で話しかけてきた。
ビクンって跳ね上がったから寝てたと思われたらしい。
するとまたアリス症候群。
天上がぐんぐん遠くなっていき、自分が小さくなったような感覚になる。
昼間のこともあったからすぐに直そうと思って瞬きをしつつ首を少し回した。
するとベッドのフチあたりに巨大な顔があった。
よくホラーものに出てくる青白い顔。
巨大に見えるのはアリス症候群のせいなのか分からない。
パニックになって起き上がるも、アリス症候群が治らない。
巨大な顔は無表情でこちらを見ながらカクカクと左右に動いていた。
周りの物が全て大きくて余計にパニックになる。
とにかく視線や焦点をずらなさきゃと思って、近くに落ちてる携帯を拾う。
手に持って画面を点灯させてそこを必死に見る。
それでも巨大な顔は、視界の端でカクカクと動いていた。
耐え切れなくなって目を閉じた。
何秒かわからないけど、とにかく強く目を瞑っていた。
携帯を持つ手が小さく震えていることに気がついた時、
右耳のすぐ横で囁くように「惜しかったね」と女の声が聞こえてきた。
驚いて体がはねたけど、反射的に右を見た。
しかし何もおらず、耳に嫌な感触が残っているだけだった。
それからアリス症候群が怖くて、じっとしているのが苦痛になった。
じっとしているとアリス症候群が起こってしまうかもしれないと恐怖した。
それでも大学の授業は受けなきゃならないし、
数日間アリス症候群に怯えながら大学に通った。
しかし、何も起こらず2週間以上が経過した。
きっとあれは疲れ等からくる幻覚みたいなものだったのかなと思い始めた頃だった。
バイトもない夕方、自宅のリビングでぼーっとテレビのニュースを眺めてた。
何となく嫌な予感がすると思ったら、案の定アリス症候群が起きた。
テレビがどんどん大きくなっていって、自分が小さくなる感覚に陥る。
やばい!やばい!焦って瞬きをして大げさなくらいにキョロキョロする。
でも治らなかった。
無理にでも歩いてしまおうとしたけど、なぜか足が固まって動けない。
テレビのニュースキャスターの声だけが大きく聞こえてきて、うるさく感じた。
はやく遠近感を直してしまおうと無駄にキョロキョロしていると、
ふとすぐ右側に、この間の巨大な顔が現れた。
すぐ右側でカクカクカクカクカクカクと左右に小刻みに動いている。
恐怖で飛び退きたかったけど、体が動かなかった。
思いっきり視線を左に向けて顔を見ないようにした。
でも右からカクカクと動いている気配がする。
絶望的な気分になって、目をつむって下を向いた。
心のなかで、消えろ消えろ消えろと何度も繰り返した。
そしたらどんっと右肩に何かが当たった。
その何かがゆっくりと動いた。
そして右耳のすぐ横で「あーあ、もう少しだったのに」って言われた。
すっと肩が軽くなって、恐る恐る目を開けると、通常通りのリビングだった。
巨大な顔もいなくなっていた。
これを最後に今日までアリス症候群にはなってない。