人間の怖さ

【怖い話】パソコンに残されていた日記

102: 2007/05/23(水) 18:58:43 ID:EmDoOH+z0

20140813c
 

前の会社にいた時のこと。

後輩のA君が、同僚のBを好きだとわかった。
調査してみたらBもAくんが好きらしい。
これは話が早いと思ったのだが、
本気で好きになってしまうとあんなものなのだろうか。
ふたりともモジモジして一向に話が進展しない。
仕方がないので、Bの同僚のC子と俺で世話を焼き、
飲みに誘ったりして無事にくっつけた。

それから1年後のこと。
その会社では半年に1度ぐらいのペースでパソコンを新しくする。
貧乏会社なので4~5台程度購入し、現場レベルのトップに支給される。
で、そいつらが今まで使っていたパソコンは下のスタッフへ、
下が使っていたパソコンは廃棄、という具合になるわけだ。ま、パソコンのお下がりだね。

貧乏会社でシステム部なんてご大層なものはないので、
自分でデータをバックアップし、メーラーなどの設定を保存してから、
データと設定を削除し、パソコンを次の人に引き渡す。
受け取った方は自分の設定をしてデータを入れる。
アプリを入れるのが面倒なので、フォーマットはしないで済ませるのだ。

103: 2007/05/23(水) 18:59:24 ID:EmDoOH+z0
俺の直属の部下であり、お古のパソコンを受け取った新入りのD君が
神妙な顔で相談に来た。
「あの、すみません○○さん(←俺の名前)、
ちょっとこれを見ていただきたいんですが…」

と言ってお古のノートパソコンを差し出す。

画面を見てみるとフォルダが開いていて、
その真ん中に「日記」と書かれたテキストファイルがポツンと。

「何これ? 君の日記を俺に見て欲しいの?」
「いや、パソコンに入っていたんですけど…」

そのファイルはシステムフォルダの奥の奥、
普通なら絶対開けないな所に入っていた。
D君がどうやってそれを見つけたのかは面倒なので省く
(ファイル検索でたまたま見つけたらしい)。

「中身見たの?」
「さわりだけ…」
「わかった。じゃあこれはオレが何とかする。君は忘れるように」

ファイルをコピーした後、削除してからパソコンをD君に返した。

彼の前にこのパソコンを使っていたのはC子だ。
つまり日記は彼女のもの。
どうやら彼女は削除をし忘れてしまったらしい。
どんな日記なのか興味があるではないか。

104: 2007/05/23(水) 19:00:16 ID:EmDoOH+z0
最初は実に他愛のない内容だった。
仕事がうまくいっただの、取引先の誰々がむかつくといったもの、
ランチがおいしい店を発見したとかね。

だが、ある頃から内容が一変する。
『私の方がBよりもずっとずっとA君を好きなのに…』

はぁ?A君が好きぃ?ってお前、
俺と一緒になってA君とBをくっ付けたじゃねえか。

『B君がCを好きだと知って、言うに言えなくなってしまった…』

切ない乙女心も綴ってあった。
ちょっと同情した。
が、そのうち内容がかなりヤバイ方向に。

『BからA君と結ばれたことを聞かされた。
あんなくそ女のくされマ○コに入ったクソチ○コなんて、
腐って落ちてしまえ。阿部定の呪いをこめて』
(ほぼ原文ママ。伏字はしてありませんでした)

こぇぇぇぇぇ。
しかし、C子もよく阿部定なんて知ってるな。
そして最後の日記。

『A君もBも死んでしまえ。
ふたりをくっ付けた○○(俺の名前)も、
ふたりを祝福している会社の連中も死んでしまえ。
みんなに呪いがかかるよう、
会社のコーヒーメーカーにねずみの生き血を入れた。
これからずっと続ける』

105: 2007/05/23(水) 19:01:49 ID:EmDoOH+z0
そういえば、この日記のころから、
コーヒーにうるさい社長が「コーヒー豆を変えたか?」
「入れ方を変えたか?」「水を…」と言い出したのを思い出した。
ちなみに俺はコーヒーを飲まない(飲めない)。
どうやってねずみの生き血を手に入れたのかは知らないが、
彼女はやる。きっとやる。

上司に相談するとか、匿名でC子に警告するとか、
いろいろ考えたが、どれもすぐに俺だと分かるだろう。

どうしようもないまま数日が過ぎた。社長との会議中、
また「コーヒーの味が…」と言い出したので
コーヒーメーカーを変え、置き場所を湿っぽい給湯室から
総務の机の隣に変えることを提案。
あっさり了承したので、この問題は解決した。
まさかみんながいる所で生き血を入れることはできないだろう。

一月もしないうち、俺はより条件のいい別の会社からオファーがあり、
そこに移った。A君やBもほどなくして辞めたそうだ。

106: 2007/05/23(水) 19:03:02 ID:EmDoOH+z0
それからさらに1年後、会社を辞めた連中で飲むことになった。
A君も来た。今ならC子がA君を好きだったこと、
それを日記に残していたこと
(もちろんコーヒーメーカーや阿部定のことは伏せて)を
話してもまあいいだろう。

「よっA、久しぶり」
「○○さん久しぶりです」
「元気にしてる?」
「何とか。仕事が忙しいですけど」
「それはいいことじゃん。そうそう、あのさ、
Aに言おうと思ってたことがあるんだけど…」
「何ですか? 実は僕も報告することがあるんですよ」
「何?」
「実は俺、C子と結婚したんです」
「えっ、ま、マジで。それはおめでとう…」

もちろん日記のことなど言い出せず、
なぜBと別れてC子と結婚することになったのも聞きだせず、
ただ女の執念は恐ろしいと思いました。
ふたりは今も幸せに暮らしているそうです。

あまり怖くなかったでしょうか。

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