温泉街のホテルに泊まることにした。
温泉は24時間いつでも入れる。俺は広い風呂が久しぶりで楽しく、
真夜中に一人湯船で泳いだりして遊んでいた。
気がつくと午前1時を回っていた。これはいくらなんでも遅すぎる、
明日の法事に差し支えるというので部屋に戻って眠ることにした。
風呂場は半地下にあり、俺の部屋は3階だった。もうホテル内の照明は落とされており、
足元を照らす薄暗い常夜灯があるばかり。
人気の完全に途絶えたエレベーターホールからエレベータに乗り、3階で降りた。
そこを左に曲がると、まっすぐな廊下があって俺の部屋はその廊下の真ん中から少し手前くらい。
長さにして20メートルほどだったか?廊下の突き当たりは、非常階段に通じる鉄の扉。
薄暗いその廊下に一歩足を踏み出したとたん、俺はその場に凍りついた。
廊下の向こうの端に、文金高島田というのかとにかく和装の、花嫁さんが立っていたからだ。
そしてその花嫁さんは、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
俺もその場に立ち止まっているのもおかしいと思い、自分の部屋に向かって歩き出した。
花嫁さんはこちらに進み、俺はそちらに向かって歩いてゆく。
すれ違った瞬間、花嫁さんは小さく会釈をした。白粉の匂いと衣擦れの音がした。
俺は自分の部屋にたどり着き、花嫁さんのほうを振り返った。
ちょうどエレベーターホールのほうに曲がっていったところだった。
結構大きなホテルだったし、翌日は日曜日だから結婚式のリハーサルでもあったのかなあ、
と漠然と感じた。とにかく恐怖感はなかった。
翌日の法事も無事に済み、東京に戻った俺は友人(女)に
「こんなことがあった」
と真夜中の花嫁さんの話をした。
20メートルの廊下。
俺の部屋はその真ん中から少し手前。
花嫁さんが最初に立っていたところは、非常階段に通じる鉄扉の前。
「あんた、その人とすれ違った、っていったわよね」
「うん」
「おかしくない?廊下のむこうとこっちから歩き始めたなら、どこですれちがうっていうの?
だって、あんたの部屋、廊下の真ん中より手前にあったのよね」
「・・・うん」
「あんた、よほどゆっくり歩いていたの?」
「いや・・・そんなことはないけど・・・」
「あのね。
花嫁衣裳ってとてもきつくて重くて、ゆっくりしか歩けないのよ。
まして頭まで作ってあったんなら、重たくて一人でバランスをとって歩くことも難しいんだから。
なんでそんな格好をした人がそんなに早く歩けるの?」
なかなかいいぞ!
その花嫁が、まさか非常階段から鉄扉を開けて?とそそられるのも良い。
久しぶりの佳作認定。
いうのも友人にばっさり否定された。
夜中に白粉なんか塗っていたら翌日本番があるとして肌がぼろぼろになるという。
結局良くわからない。
このホテル、今でもやってる。
ものすごく怖かった
文金高島田、こえええ
怖がってくれてありがとう。
花嫁さんとすれ違ったときは特になんとも思わなかったのだが、
後日の友人の検証により背筋がぞっとしてしばらく眠れなくなってしまった。
まず、花嫁さんの移動速度が検証すればするほど異常なことに気づいた。
俺は部屋の前で花嫁さんが廊下を曲がって行くのを確かに見た。
俺が花嫁さんとすれ違ったこと自体異常なのだが、確か俺はその直後に部屋についたはず。
しかしふっと見た花嫁さんはすでに廊下の影。
時間の進み方がおかしくなっていたのではないか。
だが一番恐ろしいのが、あの花嫁さんはどこから来たのか、ということだ。
最初に書いたとおり、廊下の突き当たりは非常階段の鉄扉。
まさかそのむこうからやってきたのだろうか。
★当サイトの最新情報&過去記事がいつでも知ることが出来る、「2ちゃんねるこわーい話まとめ」のアンドロイド版アプリが遂に完成しました!↓↓
【恐怖体験談】行ってはいけない「かみ屋敷」
【恐怖実体験】入っちゃいけない場所に逃げた時のはなし
【恐怖体験談】ゲームサイト掲示板の友人から届いたDVD
【画像】
このツイートRTできたら良い工場で作られたスマホ。できなかったらこんな画面に・・
【奇妙な話】僕はいったい誰なのでしょうか?
【記憶にこびりつく】今でもトラウマなテレビ・漫画・ゲーム
【心霊体験】山にまつわる怖い話 -西瓜-
【奇妙な話】僕はいったい誰なのでしょうか?
【恐怖体験談】俺のいらん力を持って行ってくれた爺ちゃん
【洒落怖】実家に帰省した時の話。
【恐怖体験談】トンネルで聞いた女の笑い声
【衝撃の恐怖】一度見たら忘れないトラウマになるアニメ・漫画
【恐怖体験談】深夜にインタフォーンを鳴らす女
【恐怖体験談】死んでからも出勤してくる主任
【怖い話】俺の通っていた高校ではしょっちゅう自殺者が出る
【ゾッとする話】強盗だと思ったのは・・・