心機一転、引越しをしようと部屋探しをしていた。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?266
家賃も住んでいたアパートより安かったのですぐに部屋を見せてもらうことにした。
8階建てのパッと見綺麗なマンションで、エレベーターもついている。そこの5階の角部屋、
506号室だった。
玄関を開けてもらい不動産屋のあとについて室内に入ると、異常に暗い。とにかく暗い。
日当たりが良くないとはいえ、真昼間なのに日没間際のような暗さだった。
とくに玄関からリビングまでの間のユニットバスや台所があるスペースが真っ暗。
リビングに入ると天井が薄暗く、なぜか神棚を置くような小さなスペースがあったのだが、
そこが異様なまでにドス暗くて気持ち悪かった。
だが住居としては申し分ない設備と環境。霊感なんてないので少々気味悪くてもいいかと
契約してしまった。
無事引越しが終わって新居での初日。相変わらず暗いが電気をつければさほど気にならない。
引越しを手伝ってくれた友達と鍋をつついていたら「なんかこの部屋おかしくねーか?」
と言い出した。わけを聞くと
・電車が近くを通っているのに異常なまでに静か
・隣人などの生活音が全く聞こえない
・部屋が暗い。特に天井の四隅が暗い
・タバコを吸った後のようにどんよりした空気(誰も吸わないのに)
確かにその通りだったが静かなことはいいことだし、暗いのも気にしすぎだと思っていた。
空気も窓を開ければいいし。
エレベーターで5階まで行こうとしたら「修理中」の張り紙。しかたなく階段を上がることに。
5階に着いて自分の部屋に向かい玄関のドアを開ける。
なにかの違和感を感じ、すぐさま玄関の電気をつけようとスイッチを押すが、つかない。
何度カチカチ押しても真っ暗なまま。
ここで嫌な感じが増していて怖くなっていたが、どうしようもないので靴を脱いで
リビングまで行くことにした。
真っ暗なので壁に手をついてそろそろ歩く。台所のシンクに手をついた瞬間、全身が凍りついた。
部屋の真ん中に誰かいる。体は細く背が高い。
窓から射す僅かな光でぼんやりとしたシルエットになっていて顔や服装などの
細かいパーツが見えない。
部屋の中に誰かがいるという異常事態にパニックになるも体は全く動かない。
すると部屋の中の人はゆっくりとこちらへと向かってきた。
ゆっくりと足を引きずるような感じで向かってくる恐怖で、気づいた時にはドアを開けて
廊下を走って逃げていた。
エレベーターのボタンを押しても反応がなく、修理中だったことも忘れていた。
階段を駆け下りて一階まで降りると、丁度、エレベーターが一回に降りてきた。
エレベーターの扉が開く。
見てはいけない!と思い、無我夢中でマンションの入り口まで走り、
そのまま近くのコンビニまでノンストップだった。
それから数日は友達の部屋を転々とし、一ヵ月後には部屋を引き払い
別のボロアパートへ引っ越した。
よく聞くような話で申しわけないんだけど、実際に体験したことでした。
それから何度か部屋を借りてきましたが、暗い部屋だけは住まないと決めています。
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