引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?281
6月の半ば頃の話。
当時俺はバイク買ったばかりで、
大学が終るとしょっちゅう一人でバイクに乗ってあちこちを走り回っていた。
その日も特にする事がなかったので、次の日休みという事もあり神奈川方面へ結構な遠出をした。
で、その帰り道、たしか夜の12時過ぎくらいだったと思う。
道とかも適当で標識を頼りにあまり車通りの多くない道を世田谷方面に向かって進んでいると、
急に前を走っていた車が急ブレーキを踏んで蛇行しガードレールにぶつかった。
目の前で事故を見たのは初めてだったのでかなりびっくりしたが、そうも言ってられないので、
ひとまずバイク路肩に停めて車のほうへ駆け寄った。
車の窓から中を覗き込むと、
中には女の人がいて両手でハンドルを持ったまま頭を項垂れてガタガタ震えている。
「え?これヤバくね?」と思い、とりあえず窓越しに「大丈夫ですかー?」と声をかけたのだが、
女の人から返事は無い。
結構パニック気味だった俺は、ここで警察に電話しないととふと気付いて110番をした。
警察を待っている間、俺が何度か「大丈夫ですかー?」と聞いていると、
女の人はやっと車から降りてきた。
見た感じ怪我は無さそうだが、顔色は真っ青で何かぶつぶつと呟いている。
少し呟きが気になったので、「どうしたんですか?」と口元に耳を近付けると、
震えた声でとんでもない事を呟いていた
続く
「子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…」
俺はかなりギョっとした。
事故の瞬間を見てはいたが、
子供なんていたか?記憶を思い返しても道路に人影があったようには見えなかった。
慌てて道路の方を振り返ったが、どこにも子供の姿はない。
俺は女の人を路肩に座らせて、あちこち歩いて見て周ったのだが、子供なんてどこにもいない。
そうこうしているうちにパトカーがやってきて、警官が2人降りてきた。
警官に俺が事情を話し、警官もかなりあちこち探してみたのだが結局子供はいなかった。
俺も色々事情を聞かれたのだが、少なくとも俺は女の人の乗る車が急ブレーキを踏んで
ガードレールにぶつかったところしか見ていないし、道路に人影も見ていない、
俺は自分の記憶にあるとおり警官に伝えた。
再度警官が女の人に事情を聴きに行き、俺もいっしょに聞いていたのだが、
女の人が言うには急に道路わきから子供が飛び出してきて、衝突する音も聞いたという。
でも現実にはどこにも子供の人影は無い。
警官の一人がパトカーに戻り無線で何か話し始め、もう一人の警官が女の人に怪我はないかとか
痛い所はないかとか聞いていたとき、急に女の人が道路わきにあった
カーブミラーを見て
ぎゃあああああああああああああああ
と物凄い絶叫を挙げた。
続き
びっくりして俺と色々聞いていた警官もカーブミラーを見た、カーブミラーには俺が一番手前に、
歩道の路肩に女の人が座り、その横に警官が屈んでいたのだが、女の人と警官の後ろ、
本来誰もいないその場所に子供が写っている…
年は4歳か5歳くらい、ちょっと良いところの幼稚園児が着る様な服を着て、
無表情に鏡越しに俺たちを見ていた。
俺と警官はたぶんほぼ一緒に後ろを振り向いたと思う。
しかし、そこには誰もいなかった。
もう一度ミラーのほうを見ると、そこには俺たち3人しか写っていなかった。
女の人はこれで完全にパニックになって、とても話が聞けるような状態ではなくなってしまい、
警官が呼んだ救急車でそのまま運ばれていった。
そして、俺には一応あとでまた事情を聞くかもしれないと住所や電話番号を聞き、
最後に「ああいうのはさっさと忘れたほうが良い、気にしないほうが良いよ」と言ってきた。
が、そう言っている警官もかなり顔色が悪かったが…
その後、警察からは特に連絡など何もなかったので、申し訳ないが後日談とか
真相とかいわくとか、そういうのは全く解りません…
以上で俺が体験した話は終わりです。