同じマンションの別の階には俺の友人が住んでいた。
引用元: ・死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?218
ことあるごとに互いの部屋に遊びに行ってた。
俺の部屋は風通しが悪く、夏なんかは盆地特有の蒸し暑さでたまらん。
そこで、少しでも風通しがよくなるように、
玄関のドアをいつも数センチ開けてた。
施錠はせずに、U字型の二重ロック(画像)だけをひっかけて、
その上で、扉と地面との間に新聞紙かませて、数センチ隙間を作ってた。
そんで寝る時は、かませてた新聞紙を抜いて、
U字ロックだけをひっかけてた。
これだと、たとえ家の外からドアを引いたとしても、
数センチの隙間が開くだけだから、だれも侵入できないだろうと思って。
ところが、友人は夜中でも構わず遊びに来るんだ。
そいつはドアに鍵が掛かっていないと思ってるから、勢いよくドアを引く。
するとU字ロックがひっかかって、「ドゴン!」って結構大きな音がするんよ。
それで目が覚めて、眠い目をこすりながら友人を部屋に入れることが何度かあった。
帰って来るなりそのまま蒲団に入り、あっという間に眠りに入った。
眠りの深いところにいる時に、
突然、例の「ドゴン!」で目が覚めた。
さすがにその日はものすごく眠たくて、
友人には悪いがドアを開けず、そのまま寝ることにした。
その後、5回くらい「ドゴン!ドゴン!ドゴン!」と鳴ったんだが、
俺は寝ぼけながら「悪い…。今日はもう諦めて部屋に帰って…」と思いながら
そのまま再び眠りに落ちた。
昨日のことを話しても、「昨日は行ってないよ」って言う。
脅かすなよ、と食い下がるが、どうも嘘は言っていない様子だった。
じゃあ、あれは夢だったのかもな-、とか言いながら、
二人で俺の部屋のドアまで来た時、友人が何かに気がついて声をあげた。
その声に驚いた俺が、友人の視線を追うと、
俺の部屋のドアにうっすらとたくさんの文字が書かれていたんだ。
数えてみると縦13文字×横9文字。
きれいに表のように並べて書いてある。
しかもその文字のどれもが、おそらく実際には存在しない漢字(?)なんだよ。
異様に画数が多く、部分部分は見たことがあるんだが、
全体としては存在しない文字。
すぐに消そうと、雑巾を部屋の中に取りに行こうとしたんだが…。
その朝、俺は鍵を掛けずに友人の部屋に行ったんだ。
だから、さっきの十数分の間に誰かが部屋の中に入って
じっと俺を待ってるんじゃないかと思うと、もうダメでさ。
あわてて2人でマンションから走って逃げたよ。
結局、他にも知り合いに来て貰って、真っ昼間に思い切って入ったんだけどな。
心配していたようなことは何もなく、それだけはよかったと思ってる。