興味なければスルーしてやって。
これは母さんから聞いた話。
文芸部だってのに文才がまったくないのは勘弁してくれ。
俺の母さんは昔から、ある一定期間、急に第六感が強くなる時がある。
七年前も例に漏れず、
「地震、来るよ」
と言ったらマジで三日後に震度5弱が来てビビった覚えがある。
でも今回は、それだけで終わってくれなかったらしい。
母さん自身、これは子供(俺と弟)に聞かせたらまずいと思って最近まで口を閉ざしていたそうだ。
そんな母さんの、洒落にならん怖い話。
『鏡や死角が妙に気になる』
それに変な現象は母さんのみに限らず、俺の弟にまで及んでいた。
「かいだんこわいー!」
二階に行ったかと思ったら、幼い弟が泣きながら帰ってくる。
一回だけでなく、何回も。
思えば幼い弟だからこそ、何かの異常を感じ取っていたかもしれない。
母さんは少し不気味に思いながら、その日も眠りについたという。
その晩、やけに自分の枕元にある窓から嫌な感じはしたが、暑いから開けたままで。
暑苦しい。
そう感じて、夜中に目を覚ました。
傍らで眠る子供ら(勿論餓鬼の俺と弟)はぐっすり眠っている。
布団を少し直して、自分は飲み物を飲みに行こうとした、その瞬間。
「ヴァ"ァ"ァ"アアア"」
「ギャ"ァァア"ア"ア」
断末魔なんて聞いたことないけど、断末魔ってこれじゃないか。
そんな恐ろしい声が窓から入りこんだ。
あの、嫌な感じのした窓から…。
「んー…まぁ、ぼちぼち」
「あのあと全身金縛り。こりゃ流石にやばいー思ったけどねぇ」
すでに洒落怖のシリーズ物を読破した俺には多少この話の方がマシに聞こえた。
しかし、これには後日談がある。
うちの家が建ってる土地は、戦国時代の武将、●臣氏が四国平定の為に皆殺しを敢行した土地だった。
もしかしたらあの断末魔、無実を訴える亡くなった人達の声かもしれない。
合戦とかはあったと思うが。
でも確かに犠牲者は多かった。
城二つ落としたからな。