暇だったらまあ読んでよ、現象自体は大したことないし俺は直接視れてないけど。
ファミレスでの俺のシフトは、普段は週3日で17:00~22:00と日曜の昼間。
すべて肝試し帰りの客の1人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いていった後での出来事。
①マネージャーがゲスト用の女子トイレに近づきたがらなくなった
従業員はゲストルームが汚れてないか必ずチェックしてからでないと休憩に入れない。
その他にローテーションでトイレ掃除をしなければならないんだけど
マネージャーが女子トイレに長くいられない、できれば近寄りたくないなどと言うようになった。
女の人が女子トイレの個室の上からときどき顔を覗かせている、首から下が見えないと。
お客から女子トイレの掃除用具入れが勝手に開くから危ないとクレームもきたりしてたし
(点検したが扉の故障や立て付けが悪いでもなかった)
マネージャーは霊感があるとは聞いてたが、とにかく女子トイレに怯えていた。
店が潰れるひと月ほど前だが、子供が「トイレに行きたくない」と騒いだことがあった、
そのときは俺もいたんだけど、お母さんが困っていたのでパートの従業員に
どうしてトイレ嫌なの?とその子に聞いてもらったら「トイレの上のほうに怖い女の人がいる」と言ってぎゃん泣きしだした。
隣の男子トイレにすら近寄りたがらない、従業員用トイレも拒否したので
お母さんは近くのコンビニまで連れていった。
マネージャーは「あの子にも見えちゃったんだね」って言ってた。
②店長が裏の事務所個室で発注と精算の作業をしていたとき
その個室には小窓がついており、そこから調理場が見える。
更衣室、または洗い場や従業員用のトイレにいく場合、従業員たちはその小窓の前(つまりキッチン脇)
を横切ることになる、お客さんは基本入れない。
店長曰く、長いボサ髪の見慣れない女性がスッ…と横切っていったので
作業を止めて調理場に出て「いま誰が出勤してきたのか」と尋ねたが「誰も通っていない」と言われる。
泥棒や不審者だと困るので、念のため更衣室、トイレをノックし中を確認したが誰もいなかったのだと。
気のせいだったのか、と個室に戻ろうとしたら、今度は裏口(食材等の搬入口)のドアのチャイムが「ビビー」と鳴る。
裏口は防犯のため二重扉になっていて、外側のドアは鍵を持ってない者は開けられない。
内側のドアはチャイムを鳴らして、中からドアを開けてもらわないと入れない。
それに配送のくる時間帯でもなかった。
店長は強盗などを想像し、キッチンの肉叩きを構えてドアを開けたそうだ。
が、やはり誰もいなかったのだと。
それどころかドアを開けて、チャイムを確認しているその瞬間にもまた「ビビー」っと鳴らされたらしい、
もちろんそこに人などいない。
誰かが小窓を横切る、誰もいないのにチャイムが鳴る、気味悪がった店長は「気のせいだ」「チャイムの故障」
と言いながら手首にお守りの数珠をつけるようになった。
これらは一度ではなく、後々マネージャーや他従業員も経験したようだが俺はお目にかかれてない。
③店の入り口扉の付近で待機していた時
繁忙時間以外はけっこう暇なもので、することがなければお客にいつ呼ばれてもいいように、
来客をすぐに出迎えられるよう、店員は見渡せる場所で待機することがある。
そのスペースが玄関付近だったんだけど、俺ともう1人のバイトの女の子はそこで待機しながら
軽く世間話してたんだ、何気なく扉の外を見ながらね。
すると女の子が扉の向こうを見ながら「あ、お客さんだ」と言っておもむろにメニューを持ち構えた。
「入ってこないのかな?あれ?行っちゃったね」
俺はどこにその客がいるのかわからず、女の子が独り言を言っているようにしか見えなかったので
「どこにお客さんいるの?」と尋ねたが、「いま扉の向こうに立って覗き込んでたでしょう!」と。
扉の向こうは俺も間違いなく見ていたが、人など立ってなかったし誰も覗き込んでもいなかった
そう伝えたら「嘘でしょ?ほんとに?女の人だよ?怖がらせようとしてる?」
女の子は俺が変なこと言ってるって店長やマネージャーに言いにいったりしたが
そんなこと言われても、誰も居なかったもんは居なかったんだ。
店長が「俺そういうの苦手だからやめてくれよー」と俺に言いにきた瞬間、店長の数珠がはじけ飛んだ。
店長は顔面蒼白、数珠の玉集めるの大変だった。
続く
④フロア清掃の業者が入るときのこと
数ヶ月に1度の深夜帯、フロア清掃のために専門業者が入る。
その日は日付が変わる前に店を閉店させ、深夜シフトの従業員が立ち会うんだけど
閉店させてから業者が来るまで、従業員はキッチンの清掃をするんだって。
誰もいないはずのフロアから「すいませーん」とはっきり女性の低い声で呼ばれ、
入り口の鍵をかけ忘れ間違ってお客が入店してしまったと思い、その人は慌てて出て行ったが誰もいない。
不思議がっているとまた女性の低い声で、今度はキッチンのほうから「おぉぉぃ」と声がしたそうだ。
怖くて業者がくるまで有線大音量にしてキッチンに引っ込むと
②であったとおりキッチン横を誰かが横切ったりしてパニックになり
思わず店長に電話したのだと言っていた。
店長はすげー怒ってたよ、夜中ってのもあるし、電話で報告されたとき数珠がバチン!と切れてチビリそうだったんだと。
⑤客からのクレーム
ランチタイム、柄の悪そうな男性客が突然「おい、あのホエド女追い払え」とクレームを入れてきた。
対応したパートの女性は何のことかわからず、どちらの女性かと尋ねたそうだが
「さっきから店の周りをうろついて窓から覗いてる、飯が不味くなる、さっきは向こうの席の客を窓から覗き込んでた」って。
そのとき他の客からそんなクレームもなくて、外をうろついて堂々と覗き込んでる女性がいたら従業員も気づく。
パートさんは訳がわからずホエドの意味もわからないしちょっとおかしい人なのかと対応に困ったそうだ。
だが、窓から覗く不審者騒動は別の日の深夜帯、別の客でも起きた。
女性客が悲鳴をあげたので駆けつけると、女性たちは「今女の人が窓に顔をくっつけて覗き込んでいた」
「窓の下のほうに隠れたので立ち上がって覗き返したが誰もいなかった」と。
外に出て確認すると、そこにはみっしりと植木が植えられてて人が踏み込んだ形跡もなかったそうだ。
⑥へ
⑥頻度が増す
早朝、マネージャーがモーニングの準備をしていたところドアベルが鳴った。
いらっしゃいませと出迎えに出たが入り口に客は立っておらず、キッチンのほうへ女性が入っていくのが見えた。
モーニングのシフトで入ってるFさんが出勤したのだろう、とモーニングの準備を続けたが
その際すでに寒気が止まらなかったそうだ。
しばらくすると「おはようございまーす」とFさんが出勤してきたので、マネージャーはさっきの人影が
Fさんでない何かだと理解したそうだ。
その日はFさんとマネージャーが突然吐いて体調を崩したり、誰もいないのに洗い場の食洗棚に並べた皿が棚ごと落下したり
バイトの女の子が「キッチンのほう(従業員入り口)にお客さんが入っていったけどいいの?」と客に言われたり
ただでさえ変なことが起こるようになっていたので、体調を崩したマネージャーは真剣に、
Fさんを連れてお払いに行ってお札も貰ってくる、と店長に相談したという。
夕方出勤した俺がその話を店長から聞いている最中、また店長の数珠がバチンと切れる。
バイトの他の子まで具合が悪くなり、その日は帰っていったので店長と俺で夕方以降の繁忙時間の接客を乗り切った。
後日、マネージャーが本当に貰ってきたお札が事務所に置かれていたよ。
けど効果なかったんだろうな、①~③の不可解な現象は収まらずその後も「まただよ」って報告されていた。
これほどだったのに俺は置いてかれた女をこの目で確かめることはできなかったわ、
見えないもんは見えないし感じもしないんだよ。